意外と優れもの@2SC1815

使用デバイスを知るの第2段です。

安価なので気軽に使っていますが
HFなどで使う限り結構優れものなのですよ。

まずは規格から。

コレクタ・ベース間電圧 VCBO 60V
コレクタ・エミッタ間電圧 VCEO 50V
エミッタ・ベース間電圧 VEBO 5V
コレクタ電流 IC 150mA
ベース電流 IB 50mA
コレクタ損失 PC 400mW
接合温度 Tj 125°C

コレクタしゃ断電流 ICBO
VCB=60V IE=0 ⎯ ⎯ 0.1 μA
エミッタしゃ断電流 IEBO
VEB= 5V IC=0 ⎯ ⎯ 0.1 μA
直流電流増幅率 hFE
(注) VCE=6V IC=2mA   70  ⎯   700
     VCE=6V IC=150mA 25 100   ⎯
コレクタ・エミッタ間飽和電圧 VCE
(sat)IC=100mA IB=10mA ⎯  0.1  0.25 V
ベース・エミッタ間飽和電圧 VBE
(sat)IC=100mA IB=10mA ⎯   ⎯   1.0 V
トランジション周波数 fT
 VCE=10V IC=1mA 80 ⎯  ⎯ MHz
コレクタ出力容量 Cob
 VCB=10V IE=0 f=1MHz ⎯ 2.0  3.5pF
ベース拡がり抵抗 rbb
 VCE=10V IE= −1mA f=30MHz ⎯ 50 ⎯ Ω
雑音指数 NF
 VCE=6V IC=0.1mA f=1kHz RG=10kΩ
              ⎯ 1 10 dB

分類
O:70~140 Y:120~240 GR:200~400 BL:350~700

注釈
ベース拡がり抵抗とは
内部の半導体として動作するベースの中心部とベースとして
引き出されたリード線間の抵抗値です。
バイポーラトランジスタでは高周波特性の指標となり大事な値です。

HF小信号を扱うデバイスとして特に目立った欠点はありません。

さてお気づきとは思いますが2SC1815Xn個PPなどという
アンプを組むときに、IBを決定するバイアス電圧を一旦
ダイオードの立ち上がりである0.6Vに落としてから
更に分圧しています。
これをデータシートから考察してみます。

hFE200でアイドリングを1mA流したい時には、ベース電流はその
200分の1である5μAとなります。

グラフから5μA流すにはVEBは0.6V(@25℃)あたりだとわかります。
1815にバイアスを与えるときにダイオードの立ち上がり電圧を
使うのはちょうどよい値だからに他なりません。
VCEが12などでは概ね曲線が平行移動し、5μA時のバイアス電圧は
0.6V以下となるので、ダイオードで0.6VにしてからVRで調整します。

次はIBによるIC-VCE曲線です。
VCEが5VちょっとまでしかありませんしIBも大雑把なものしか
ありませんがそれでもなんとか傾向は読み取れます。

VCE5VIBが0.2mA時にICは約30mAなのでhEFは150です。
0.5mA時には70mAなのでhFEは140。
つまり入力が大きくなるほどhFEは低下しています。

VCEが高いほどhFEは右肩上がりでグラフでは分かりませんが
12V程度ではだいぶ平坦にはなってきますがまだその傾向が
続きます。
ただしこの検証はコレクタ損失や電流の許容電力範を大きく
逸脱することはできないので、IB0.2mAの測定しかしていません。
VCE12V時にIB0.2mAでhEFが200なら、ICは40mA流れ
コレクタの全損失は480mWとなりPCを超えてしまうからです。
実際にはIB0.2mAをキープしながら16Vまで電圧を上げて
昇天するのを見届けましたが。(笑
お逝きなさる直前の電圧とICは・・・忘れちゃいました。^^;;
かなり許容範囲をオーバーしていたはずです。
こんなことができるのも格安時のまとめ買いで1個
1円程度だからですよね。

  先日ご紹介したhFEの簡易測定器は006P使用で
  9Vでの測定のみでしたが、電圧の変化による特性を
  見るときには出力電圧が可変できる安定化電源を
  使用します。

これらは1815を多数のパラプッシュにしてパワーを
引き出すときには考慮が必要ですが、通常の小信号を
扱うときはIBがμAオーダーとなるためVCEによるhFEの
変化は緩いものになり、5Vでも9Vでも問題なく使えますが
それはデータシートからIBが少ないほどICの右肩上がりの
傾向が少なくなり、フラットになってゆくことから
読み取れるというお話でした。

作ろうと思えば受信機もQRPなら送信機もすべて
2SC1815で作ってしまえますが、いつも見る回路では
力を発揮することはできず、ダイナミックレンジが必要な箇所
・NFが重要な箇所などはそれに応じた回路構成にすれば
馬鹿にならない底力を持っているんです。@計算上
そぉ考えると1815はコスパのみならずスペックも
優れモノと言えます。

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