HighL・LowCなのにQが高い?

10MHzのアンテナは屋上に2エレフルサイズが
組みあがっていますが、いかんせんタワーが・・・
札幌はCD社タワーは確認申請がおりないため、
22Rや8Nがあるのに、15mになる15Rや7N分しか
上げられません。
(25Sはどうしょうもない・・・)

地上高が低いのなら2エレより3エレのほうがよかろうかと。
3エレフルサイズは15mのタワーには見た目も悪いでしょうから、
以前考えていたラジエータフルサイズ・パラスティックは短縮
ではいかがかなと思っています。

5.4mのグラスロッドがあるのでディレクタもリフレクタも
同じものを使用し、ボトムローディングのLで調整します。
15m高でRe-Raが5.2m、Ra-D4.6mではLはリフレクタが6.54μH
・ディレクタが5.89μHという値が算出できました。(Q=400)
(エレメントに1.6mm銅線使用の場合。)
ラジエターは35mm~10mmALパイプで15.08mです。
これで11.2dBi、F/Bが19.8dBとなっています。打ち上げ角は
24度あり、カリブ海などに有効な10度での利得は7.51dBiです。

インピーダンスは27.5+j0.647ですので、75Ω系の同軸ケーブルを
2パラ37.5ΩでQマッチして28.125ΩにしてやればVSWRは1.03ですね。
というか28.125Ωで合うように設定してみました。
(50Ω入力はブームが長くなりバランスも悪いので3エレではきつい。)

当初の計画は各エレメントスペーシングを5mなどに統一し、リレーなどで
コイルを切り替えれば、スイッチ一つでビームが反転・・・
って考えるのは良いのですが、究極の面倒くさがり屋としては
99.999%実現しそうにもなく、机上の空論にとどめておきました。

参考

このアンテナを単に20m高に上げると、12.0dBi/18.5dB/19度となります。
30.622+j1.87(Ω)ですからVSWRは1.11。
Lを6.61・5.99μHに調整すると12.11dBi/20.7dB/になります。
(ラジエターは15.32m)25.74-j0.13(Ω)はVSWR1.09ですね。

なんでこんなこと考えているかっていうと、ハイバンドのコンディション
のこともありますが、ずっと昔から歳をとったら30mQRP(5W程度)でCWを
と考えていたからで、とりあえず予行練習といったところです。

しかし地上高よりラジエター長のほうがあるってどうよ!?

*エレメントに使う1.6mm銅線を変更する場合は、全く違った
 インダクタンスになりますのでご注意を。
 (Lをそのままで2mmの銅線にすると、ゲインは11.15dBiとそう
  落ちないものの、F/Bは11.8dB・VSWRは1.49となってしまいます。)

おまけ (実は本題)

この手の話をしていたときにあった大いなる勘違い。

I氏:HighL-LowCは回路のQが低くLowL-HighCは高いんだよね?
拙生:アンプのπ型ネットワークなんかはそうだけどね。
I氏:コイル入りの短縮アンテナって当然HighL-LowCだけど、帯域が
   狭いってことは回路Qが高いってこと?矛盾しているような・・
拙生:(思わず)惜しい!

つい惜しいと言ってしまったのは、古の頃拙生も同じことを
考えたことがあったからです。
しかしQ=ωL/Rであることを考えると、すぐになぞは解けますよね。
例えば上記のフルサイズダイポールがL=13.4μH・C=18.4pF程度です。
ωLは852.47Ω(at10.125MHz)ですからこの数値を純抵抗分で割り算
したのが回路のQです。
この時の純抵抗分は61.041Ωなので、割り算すると13.97となります。

エレメント長を5.4mにしたときはC=17.6pFなので共振させるにはLが
14μH必要ですが、エレメントが短いために7.7μHしかありません。
残りの6.3μHをコイルで補うわけです。
つまりL=14μH・C=17.6pFで10MHzに共振していて確かにフルサイズより
HighL-LowCではありますが、この時の純抵抗分が29.2Ωなのですよ。
ですからωLの890.64を29.2で割ってやるとQ=30.5となってしまいます。

このことにより短縮アンテナのバンドワイズは、フルサイズの半分以下
の45.8%になりますが、10Mみたいな狭いバンドではなんとかなるでしょう。
バンドワイズ331.8KHz/725KHzはこのQの比(13.79/30.5)そのまんまです。

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