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への5番 修理&改造

修理第一弾

ある程度のパワーまで出すといきなり出力ゼロとなり、
球を取り出してみると、1本のフィラメントの足が部分的に
溶けていて、ソケットの足のバネが飛んでいるという修理依頼で、
遠方のためRFデッキと球2本のみ送られてきました。
そのほかの情報としては、Ipのアイドリングがかなり流れていた
とのこと。

への5番はフィラメント1本7.5V21.3Aシリーズに接続し、15V21.3Aを
トランスから供給しています。
エキサイタからの入力は922と同様、シーリーズ接続されたフィラメントの
中点に供給され、RFCを通してトランスの中点に接続されています。
つまり1本のフィラメントまたはその配線が切れると、正常な1本に対し
トランスの中点から7.5VがRFCを通して供給されようとします。
ところがRFCはエキサイタからのRF入力が電源側に回り込まないようにする
機能なので、とっても20A以上の電流が流せるものではありません。
結果、1mmのエナメル線は真っ黒に焼けていました。

RFCの交換、ソケットの修理、球の足の補修、バイアス用ツェナーダイオードの
確認等々、思い当たるところはやっつけてお返ししましたが、残念ながら
同じ症状がおきるとのことで、今度は本体ごと送られてきました。

ついでにファンおよびロータリーインダクタの交換、上蓋サイズで交換できる
大型の吸出し用ファンの製作も依頼されました。

修理第二弾&改造

まずは不調のローラーインダクタを交換。
外したものは取り付け用のシャーシ穴と位置が微妙にずれていて
取り付けるとコイルにテンションがかかり形状にひずみが起きて
発生した不具合でした。
またローラーのナット締め付けも甘かった。。。

改造で一番大変だったのはシロッコファンの交換。
一応50Hz・60Hz兼用のファンが付いているのですが、
兼用だからと言って、50Hzでも60Hzでも同じスペック
というわけではありません。
50Hzではやはり心もとなく、コンテストなどの長時間
運用では天板で目玉焼きができそう・・・・?

200V50Hzシロッコファンは日本ではオリエンタルが有名ですが、
現時点で回転方向が逆のものしか見当たらず、今回は佐藤工業
のものを採用しました。
一回り大きいので取り付けには吹き出し口に合わせた穴の変更と
ずらしたことでできてしまう隙間を埋める工夫が必要です。
既成のフランジは使用不可(または要改造)なので製作しました。

シロッコファンのフロントパネル側のは高圧のブリーダ抵抗が
足をむき出しにして配線してあります。
そのまま取り付けるとショートしますし、スペースが少ないと
スパークの可能性もあります。
取り付け板から浮かすためのスペーサーを6個18mm削りました。
その横にあるメインブレーカーの足が異様に(?)長く、これも
必要な長さ以外を削ってしまいました。

20005

数ミリ単位の削出しと芯への穴あけはこいつがなきゃ苦労します。

20004

で、シロッコが無事収まったところで試験しようと
電源オン。。バチッ・・・ブレーカが落ちる。。。

なにか失敗してショートさせた?
またバラして火花が飛んだ痕跡を探します。
結局高圧用の配線がやばかった。
絶縁のための分厚いシース。抵抗に近い部分が熱で固くなり
表面がひび割れしてますねぇ。
じつはこれ、最初に気づいていたのですが、高熱を発する
ブリーダ抵抗に接続されている以上、仕方ないとそのままに
してありました。
ところがシロッコファンを交換したことで配線経路が変わり、
ひび割れした部分がシャーシにくっついた状態で、そこから
スパークしていました。
通常であれば数10KVは大丈夫な絶縁が施されていますが、
調べると固くなっってひび割れた部分から内部導体が
見え隠れした状態で、耐電圧が著しく低下していたものと
思われます。
この部分は15KV耐圧の比較的熱に強い細めの線の3パラに交換。

20008

左奥に見えているのはオイルコンです。
以前の投稿で均等に分圧されるよう抵抗をパラに接続したことは
書きましたが、万が一ブリーダ抵抗が焼けきれたりでもしたら、
総耐圧の5400Vは軽くオーバーすることでしょう。
気になって仕方がないので交換してしまいました。
交換して正解!
外したものを測定すると250~280μFと容量抜けしていました。
一応に抜けてくれているので、分圧にアンバランスがなかったのでしょう。
これが一部だけの容量抜けなら、耐圧をこえた電圧が印加されていたと
思うとぞっとします。(こいつはゴミ箱行です・・・)

20007

右手前のトランスは、上蓋と交換できるように製作した
大型ファン用の200-100V変換オートトランスです。
コンテストなどの長時間運用に威力を発揮します。

で、パワーが出るようになってから今度はシリコンスタックがぶっ飛びました。
このシリコンスタックって1A用じゃなかった??

6AのシリコンDiで製作したものと交換しました。

DSC_0009

やっと球に高圧を掛けられます。(もちろんエージング済み)
ところが高圧を掛けてOPにするとアイドリングが650mAも流れる・・・(@_@);;
その時のEpが4700Vですから3KWが全損失となっていて、すでに2本で2.4KWの
損失を超えています。
当然上部に取り付けてある大型ファンの排気口からは、かなりの
熱風が噴出してきます。

考えると以前ツェナーを確認した時、黒ずんでいて型名が見えませんでした。
黒ずみをあるこーるで落としながら、光の角度絵を変えてルーペで
眺めてみるとN2810・・・10Vツェナ???
トランスを変更して電圧が高くなっているのに、オリジナルのまま?
特性表を見ると、5000Vちょいで10Vなら1本300mA以上流れてもおかしくない。
つまり3CX1200A7としては当たり前な振る舞いと言えます。
特性表からバイアスとしての電圧は16V程度必要ですが、16Vの高耐圧
ツェナDiは手持ちになく、入手できるのかも不明です。

仕方がないので後の6Vを1000V3Aの整流用Diを10本順方向シリーズに
接続しました。
立ち上げり電圧が約0.6Vと仮定すれば10本で6V、ツェナの10Vと
足し算で16Vとなるはずです。
が・・・しかし・・取り付けてから測定すると、1本0.5V位でした。
案の定そのままでアイドリングを見ると400mAちょっと流れます。
なんとか300mA程度の抑えようと、1本ずつ足していったら13本で
300mAに収まりました。

DSC_0005

シャーシ横のスペーサに抱かしている10本がそうです。
残り3本は・・・収縮チューブの中です・・・

球の損失を超えたアイドリングを平気で流す。。。
一体どなたの改造なのでしょう。
パワーを出せば損失も更に増大します。(怖!
そう考えると3CX1200A7って丈夫な球なんですねぇ。

球が逝かれない分、他のところにしわ寄せが行ったとも言えますね。

これでやっとパワーがでるようになりました。
試験に入ってしばらくすると急にパワーが出なくなりました。
いろいろ調べると一本が全く温まっておらず、もう1本も生ぬるいかんじ?
RFデッキをひっくり返してソケットを見ると、修理第一弾で磨いたはずの
ソケットの足がかなり黒ずんでいます。
エキサイタ入力を受けるRFCも黒ずんでいます。
最初に逆戻りですね。

DSC_0008

かなり悩みましたが原因をつかみました。
リヤパネル側のソケットの取り付け精度が悪く、球の頭で3mm程度
内側に傾いています。
これにチムニー付の蓋を被せると、球とチムニーのセンターが微妙に
ずれています。
蓋を締め付けると球は強引にチムニーに合わせられる。
つまりソケットに対し垂直でなくなってしまいます。
それにより球のピンとソケットは、面ではなく2点の接触となり、
接触不良になった部分にコロージョンを起こしていたようです。

非常に厳しい作業でしたが、ソケットの外側のスペーサを外し
0.1mm単位で削りながらシャーシとの水平をだしました。
最終的には0.5mm削ったところで球はぴったりセンターに収まりました。

DSC_0006
写真を撮った角度のせいで外側に傾いて見えるが
実施には内側に傾いている。(3mmのずれ)

DSC_0007
リアパネル側がチムニーの芯と合わない

への5番はこの修繕の後何事もなかったようにパワーを出し始めました。
おしまい・・・といきたいところですがそうは問屋が卸してくれませんでした。

最初からメータの分流器用抵抗が黒ずんでいたのには気付いていましたが、
パチーンという音と共にぶっ飛びました。
Ipメータはスタンバイ状態でもわずかに触れ、OPにすると振り切ります。

DSC_0012
豆粒みたいな小さな0.1Ωの分流用抵抗

DSC_0013
飛んだ痕跡が・・・見えている抵抗はメータにシリースに入る150Ω

Ip2A計・Ig1Aフルスケールメータリングですが
メータ自体は内部抵抗50Ωの1mA計です。
これを2A系に変身させるには、1:1999(約2000)の分流器が必要です。
200Ω(内部抵抗50Ω+シリーズに入っている150Ω):0.1Ωで
電流比を1:2000にしています。
この0.1Ω、豆粒みたいな大きさで1/4Wかいな?
1.5A流れたとすると0.225Wの消費電力です。
これにほとんどのIpが通過して行くわけです。
いつ飛んでもおかしくないと思ってしまうのは拙生だけ?

で、0.1Ωがぶっ飛ぶと200Ωの電圧降下分がバイアスとなるため、わずかな
Ipしか流れませんが、メータが2A計ではなく0.1mA計に成り下がってますから
振り切っちゃったりするんですね。
こいつは0.1Ω1Wに交換しておきました。

ちなみにIgも同じ回路ですが、1A計とするために1:1000の分流器となり、
200Ω:0.2Ωとなります。
0.2Ωは0.1Ωの2シリーズなので耐電力は2倍となり、しかもIgはIpほど
流れないので大丈夫です。

他にもフィラメントトランスと配線のカシメが甘かったために
発熱で溶けてしまったものを交換したり・・・
細かいところはいっぱいやってます。

20006

最終測定風景
上蓋の代わりに吸出し大型ファンの一部が見えてますね。

DSC_0003

球は計5本送られてきて、全てエージング&測定をしましたが
元気のよい球と元気のない球の差が大きく興味を引きました。

実際に使用する球で各バンド順調にパワーが出ましたので、測定後
木枠梱包で送らせていただきました。

今回もFDTラボの作業場を使用させていただき、作業もお手伝い
いただきました。多謝!

一つやっつけると次の不具合が・・の連続で、その度に
バラしたり組んだりで、修理&改造日数はかなり掛かってしまいました。

・・・・・ふー、疲れた。。。

ちなみに写真のダミーは空冷なしで3KWと大きさの割には控えめな
スペックです。
空冷すると30KWってダミー持っているのですが、重くて一人じゃ
引きずるのが精いっぱいです・・・

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