格安の落とし穴

製作中のGU-74B6mアンプは、多忙のため、RFデッキの
完成以降ストップしていますが、実は拙宅に予備として
置いてあるIC-726の6mは10W機で、きっとフルドライブには
至らないでしょう。
実機は756ですが、別宅シャックで製作場所ではない、
設備共用である、など実験に使用する環境にはありません。
そこで実験用中押しアンプを検討。
と言ってもせっかく作るのですから、使用目的が
終了した後でも実用に耐えるものをと考えました。

50Wまでは必要ないのですが、基準が厳しくなった
スプリアスに対応するため、50~100W程度のものを
軽く2~30W程度使えば、相互変調歪もよろしいかと思い、
デバイス探しに旅立ってみました@ウェブ

検索に引っ掛かった製作例などを見てみると、MRF255が
圧倒的に多く、読んでみると格安という文字が飛び込んできます。
格安に弱い拙生は、早速通販店サイトを覗きに。。
1個800円、2個パック1500円!確かに格安です♪

早速購入。。。とはいきません。
拙生のFET試作例は、オーディオ用PoweMOSFETで1.9MHz(当時)
CWTXのファイナルをPPを組んだのと、頼まれて、RD100HHF1のPPで
組んだ10m用のアンプくらい。
どちらかというとニューカマーの部類に入ります。

で、検討するためにいろいろ閲覧してみると。。。
相互変調歪が-30dB程度という記載が散見できます。
シングルで55Wですが、30W程度で使えばどぉなんじゃ?
と特性表を捜しあて眺めて驚いちゃいました。
55Wでは3次が-32dB・5次が-35dBですが、10Wで見ると
5次は-45dBと改善されるものの、3次は50wで-33dB、
5Wまで下げても変化はありません。
つまり、デバイス自体が世に出た時代には、2信号特性は
あまり重要視されておらず、Pin・Poutのリニアリティ
さえ確保されていれば良いという、設計思想だったのでしょう。

アイドリングを多めに流したらどぉなのかしらん?
RFのNFBをかけたらどのくらい改善されるのかなぁ?
12.5Vの特性だから、15V位かければきっと改善される?
なんて安く簡単に製作しようとしているのに、
お試しする度に面倒な相互変調歪測定をするなんてのは
本末転倒でしょう。
格安デバイスを軽く使ってきれいな電波を。。
という目論見は見事に御破算となりました。 

格安で出回るということは、最近の基準をクリアできない
デバイスとして、大量在庫がバッタ品となり放出されたもの
と見るべきなのでしょう。
喜んで飛びつくと、ここに落とし穴がぽっかりと。。。

**** ここから余談 ****

MRF255の名誉のために

では真空管アンプはIMDが良いの?そんなことはありません!
やはり昔設計された球は、IMD特性が良くないものが多いです。
その代表として、VUによく使われた4CXシリーズ。
4CX250でフルパワーを出すと、-25dB程度だったと記憶してます。
軽く使ってせいぜい-30dB。
さすがにこれじゃまずいと思ったのか、このシリーズには
わざわざ低歪と銘打ったものもいくつか世に出されましたが、
それがどのくらいの低歪だったのかという知識は、拙生は
持ち合わせておりませぬ。。。使ったことがないので。

最近のAB級用とされる真空管は、結構FBですよね。
流行りのロシア球は軽く使うと-40dBはクリアするらしい。
驚きなのは以前免許を受けていた7F71R(F)。
古い設計ですが、規格のフルパワー以上でも、そのくらいは
確保できるというリポートがあります。
7F71R(F)の規格のフルパワー以上って。。。(大笑い

それくらいの話になってくると、先にエキサイタのIMDや、
測定に使う2信号に注目しなきゃいけませんけどね。
(IC-726のIMD特性?
・・・・・・・・・・・ごめんなさいとしか言えません。)

またこういった多信号特性は送信ばかりじゃなく、受信機の性能を
決めるうえにも当然重要なファクタになります。
特に、比較的弱い信号を受信している周波数の近隣に、強力な信号が
存在するなどの場合には、IMD特性の優劣により、聞こえるか
聞こえないか位の差が出てきます。

後もうひとつだけ。
この手の話をしているとき、インターモジュレーションとクロス
モジュレーションを混変してはいけません。w

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