拡張に対応7MHz八木アンテナ

これはかなり前に所属クラブのサイトに投稿したものです。
ほとんど見る人がいなさそうなのでこちらへ流用。。。(笑

7MHzが拡張されましたが、せっかく拡張された周波数に
出るアンテナに悩んでいる方も多いと思います。
そこで、200KHz全域で使える八木アンテナを考えてみました。

設計の条件は全域において

■ 3エレフルサイズ八木
■ SWR < 1.3
■ GAIN > 10dB(12,15dBi)
■ F/B  > 15dB 以上
■ 入力Z ≒ 50Ω at 7.1MHz(バラン直結可能)
■ 現在4ele八木が上がっている42m高さで計算。



(2007年現在)

【ブーム長】

暇な時にちょこちょこいろいろ計算してみましたが、
結論から言うと、思ったとおり、上記条件で200KHzを
カバーするには、ワイドスペーシングとなります。
Re⇒Raが7.68m、Ra⇒Diが6m、つまり13.68mで、実現できそうです。
Ra⇒Diがジャスト6mなのは、2cm刻みで計算し偶然でた結果であり、
適当に決めたわけではありません。
Diを5m位から広げて行き、その都度他の要素も最適化し、上記
条件のすべてが得られたのが、ちょうど6mと言うわけです。
(手計算ではありません。パソコンに計算式を放り込み、
 条件に合ったものを抽出させてます。)
結果的には、7.2MHzにおいて、SWRが1.3以下をクリアするのが、
最後まで引っかかりました。
もちろんSWRだけならもっとナローでも実現できますが、今度は
GAINとF/Bが引っ掛かります。
実際には、先端の余長を入れると13.9m程度は必要でしょう。

【エレメント】

当然各エレメントはフルサイズです。
ローディングコイル入りでは計算していませんが、きっと
無理であろうと思われます。
(裏話-私目の作ったものは、ローディング入りの計算は
 できないのです。。。)

エレメント全長

Re=22.48m Ra=21.78m Di=19.78m

ただしこれは、エレメントを元口が直径40mmから先端10mmまでの
アルミパイプを使用、エレメントブラケットは、CD社製のものとして
計算しており、パイプの組み合わせやブラケットが違うと、補正が
必要となります。
またRaの長さはバランのリード線を考慮しておらず、バランの
リード線長分を短くしてやる必要がありますが、リード線の
形状(バランから平行に出ているか、開いているか)等により、
若干の調整が必要となりますが、バラン直結で設計し、実際に
使用してみた14・18・21・24MHzにおいては、リード線が片側
10cmの場合、周波数に関係なく、おおむね片側5cm(全長10cm)
先端部分でエレメントを縮めてやればOKで、上げっぱなしで
設計通りの性能を発揮してくれた実績があります。
運悪く調整が必要となっても、Raのみでよく、Raに手が届く
アンテナであれば、エレメントをタテにして、タワーから
容易にできます。

【計算結果】

at 7.10MHz

50.1Ω-0.07j SWR≒1.0
 GAIN 12.61dBi
 F/B  16.2dB
ElvAngle 13.7°

at 7.0MHz

50.3-11.1j SWR≒1.25
 GAIN 12.63dBi
 F/B  18.6dB
ElvAngle 13.9°

at 7.2MHz

 46.9Ω+12.7j SWR≒1.30
 GAIN 12.71dBi
 F/B  19.3dB
ElvAngle 13.5°

以上が結果で、なんとか条件をクリアしました。

では4エレではというと、概算でブーム長が半波長では全然足ず、
現実的ではないので、計算する気がしません。(笑
しかし、すべての帯域で12.15dBi(ダイポール比10dB)以上なので、
ブーム長16m程度のナロースペース4エレに劣ってはいないと思います。

さてエレベーションアングルですが、中心周波数とバンドエッジでは
0.2°違います。
アンテナ高が一定で周波数が違えば当たり前なのですが、同一バンド内で
違う値が出ることって、運用している時には全く意識したことがなく、
このような計算している時にのみ気づくことではないでしょうか。

【余談】

他バンドで経験したことですが、実際にパワーを出してSWR計で測ると、
ほとんどのSWR計では、計算値より良い値が出てきます。
一度簡単な実験してみたことがあるのですが、純抵抗分ではどの
SWRメータもほぼ正確な値が出てきます。
例えば75オームの無誘導抵抗なら1.5といった具合です。
そこにCやL(リアクタンス成分)をくっつけてみると、SWR計によって
測定値がマチマチになります。
特にCMカプラ方式のものは誤差が大きく、L結合のものは少ないのですが、
それでも小電力による測定時の誤差が目立ちました。
ピックアップ電流の終端として入っている抵抗が小さいと、誤差が小さい
のですが、ダイオードの立ち上がり電圧より大きな電圧を発生させる
ためには、ある程度の電力を通過させなくてはならないのが宿命ですね。
といって、高い電圧を発生させるために高めの抵抗値で終端すると、
SWR計自体で反射が発生してしまいます。

例えばCMカプラはオクターブ6dBという特性があります。
つまり周波数が倍になると、結合度が6dBアップするということです。
わずか数万円のアマチュア用測定器において、1.8~28MHZ帯まで、
ちゃんとf特補正ができているとは信じられません。
(パワー計としての話で、SWRは同一周波数による比較なので、
 不便はありません。)

で、言いたいことは、アンテナシミュレーションソフトの精度が
上がってきているように、現在の計算式の確度はかなり高く、
実際にはある反射をSWR計で検出できていないだけなので、測定値が
低いからと言って、安心しないでくださいということであります。

さらに数社で出しているアンテナアナライザも、無計画に長々と
引き込んだ同軸ケーブルのリグ側で測定しても駄目です。
本当は波長を無視できるくらいのケーブルで、アンテナ直下に
繋ぎこんだところでピックアップし、離れたところで表示させる
測定がベストですが、そのような構造のものは簡易的なものにはなく、
ブリッジとトラッキングジェネレータのあるスペアナで測らなくては
いけません。
業務では同軸ケーブル長を無視できる測定器もありますが、周波数帯が
VHFからだったり、しかもお値段は7桁です。(笑笑

Qマッチを思い出せば容易に想像付きますが、50Ωの同軸ケーブルに
100Ωの純抵抗負荷を繋ぎこんだ場合、電気的な1/4λの奇数倍の長さだと、
逆端では25Ωに見えてしまいます。SWR計で測るとどっちも2ですけどね。
リアクタンス成分も反転します。
つまり50Ω純抵抗以外は、全く違う測定値を表示している可能性が
大であるということであります。
簡易型のアンテナアナライザを覗き込むための人体の影響等を考えると、
アンテナ直下での測定も怪しくなるので、それを回避する手段は、
引き込む同軸ケーブル長を、あらかじめ波長x短縮率x1/2λの整数倍
としておくことです。
計算値だけでなく、実際にノイズブリッジやディップメータなどで
共振周波数を測っておかなければあまり意味はありません。
これによりアンテナ直下と同じ値が出てくるようになります。
ただしこれも、発振出力が弱いものではだめで、特にローバンドでは
数回測ると電池がすぐ切れてしまうような発振出力の強力な
三●無線製(デ●カ)などでなければ、正確な値がでてこないないのです。
ちなみにリアクタンス成分を測れるものは、純抵抗分がマッチしていなくても
共振周波数は測れることと、SWR計は目安程度で、アンテナの状変を
確認するものと割り切れば良いと思います。

余談@バード神話の崩壊

お仕事でBird43を使うようになって、ウン十年経ちますが、
Birdが正確だなんてある出来事以来、これっぽっちも思っていません。
大がかりな測定で、測定屋が3人それぞれの測定機を基地局に
持ち込んだことがあります。
休憩時間に検定を受けたばかりの測定機と鳴き合わせしてみよう
という話になり、SGやFカウンタなどひとしきりやった後、
最後に購入したばかりというBirdのエレメントを借りて、
パワーを測ったところ、結構誤差がありました。
で、いろいろなエレメントを本体3台で比較したところ、
まったくバラバラな値でびっくりしました。
つまりエレメントをサラで購入しても、本体ごとの校正が
必要であるということにほかなりませぬ。。。
それ以来、Bird神話は鳥さんのように飛び去って逝きました。

 
 









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