Z=50Ωの大いなる勘違い

アンテナのインピーダンスって
簡単に言ってしまうものですから、
中には Z=50 であれば良いって
考えちゃう人がいてもしかたがない
のかもしれません。
実は愛すべく友人もそぉ思っていたようです。

jパートが・・・分からん。
という数学が苦手な友人のために
複素数はやめにして・・・(笑

Z=SQRT(R^2+(ωL-1/ωC))^2)

この公式は半世紀も前に拙生がまだ数学ではなく、
算数と表記された教科書を使っていた頃に、
ハムになろうと【ハムになる本】にあった式を、
ルートやπ、べき乗の意味も分からないまま、
懸命に丸暗記したうちの一つであります。
            @無事合格(笑

で、こいつが50ΩならOK?
ンな訳ありませんよね。

極端な話14.05MHzにおいて、
Rが1ΩでLが0.56627μHの場合
ほぼZ=50Ωとなります。
で、VSWRはは約100となります。(大笑い
実際にはこんなアンテナはありませんけど。。

R分をほぼゼロ(0.000001Ωとか)にして
リアクタンス成分をくっつけ計算すると、
数値が変動するものの、VSWRはほぼ無限大です。
現実ではあり得ませんが、R分がゼロであれば
リアクタンス成分に対してすべて反射で戻る
と考えて良いでしょう。

もうちょっと現実味を帯びた数字で・・・

R=25Ωでリアクタンス絶対値が43.3Ωでは?
これでZ≒50Ωです。
このときのVSWRは3.73になります。

でもまだ現実から離れています。(*)
実は先日例に上げたアンテナのRを25Ωまで
下げるには、エレメント長を10.3mから
7.1mに切り詰めることになりますが、
この時のリアクタンスは-490Ω(キャパシティブ)
なので前述の例とはかなり異なります。
あくまでZ=50であれば良いということが間違いであることを
示すために適用した数値であるとご理解ください。

↑ 21のDPに14ノッケタ時の感じ?
  ちなみにVSWRは200近くにもなります。w

(*)八木アンテナや地上高の低いDPであれば
   R=25Ωでリアクタンス絶対値が43.3Ω
   などというアンテナもあり得ます。 

まずは共振させよう!

アンテナなどのエレメント長は共振しているか、または
その近辺であることが最低条件であると考えます。
そしてその時のR分の相違に対しマッチングを取ることが
飛び受けの良いアンテナのコツです。

マッチングの方式により、エレメント長が大きく
変わってしまうものは好ましくありません。
端的な例では21のDPにATUで14をノッケることが
できても飛び受けに期待はできませんよね。

 
DPなどシンプルなアンテナほど、設置条件や
調整にごまかしが効きません。
きっちりと調整したアンテナとそうでないものは
飛び受けがはっきりと違います。

闇雲の調整で、偶然とか神頼みじゃ心許ないので
ある程度の知識を持って傾向を見出すことで
やるべき方向を定めると、いとも簡単に調整が
できてしまうこと請け合いです。

具体的な調整方法などは次回に。。。
なんて書くとお叱りを受けそうなので、DP調整時の
ちょっとしたコツを書いておしまいにします。

DP調整のコツ

エレメント長が物理的λ/2の時のインピーダンスは

Z= 73.1 + j42.5 (Ω) です。

インダクティブなリアクタンス成分をキャンセル
するために少々エレメントを切り詰めます。
設置条件や使用材料にもよりますが、リアクタンスが
ゼロ(共振)になった時のインピーダンス(=R)は
65とか67Ωと低くなり、50Ωに近づきます。

つまり共振点を探るだけで、VSWRは
1.5以下に収まるということです。
 *仮にVSWRが1.5で4%の反射が戻ってきても
  すべてが無駄になるわけではなく、チューナー部
  などで位相を揃えてアンテナに追い返すことで
  輻射効率はもっと上がります。

アンテナアナライザーやVSWRがなくても、
ディップメータだけで調整可能であります。
このようにDPの調整は簡単です。。。って書くと
終わっちゃいますが、ちょいとだけTipsめいたものを。

DPの調整は・・・
長めにエレメントを張り、VSWRが下がるように
エレメントを切ってゆく・・・のが一般的です。
ディップメータやアナライザーを使用しても
一緒の作業となります。

さてλ/2より長いので例えば両エレメントを
2cmづつ切るとすると、リアクタンス成分は
長さに対してリニアにかつ急峻に変化しますが、
R成分はリアクタンスほどではないにしても、
長いうちは急勾配で、λ/2近辺ではなだらかな
変化になってきます。
ディップメータで共振周波数を見ているなら、
リニアに切っても構いませんが、VSWRメータを
見ている場合。。
最初は大きく変化したのに、なんだか変化が
小さくなってきたからと、今まで以上の長さで
切りたくなるのは人情でしょう。
でも・・ここはこらえてください。
リアクタンス成分がゼロを切って容量性の領域に
深く入って来る頃には、予定よりVSWRが増加し
きっと後悔することになります、
VSWRが下がり始めたら逆に1cm程度にするなど、
最後は微調整という感覚でいきしましょう。

おまけ

理想的な環境で設置されたDPは必ず両サイドの
エレメント長を一緒にします。
共振だけなら長さが異なっても可能ですが、
平衡を保つことができなくなります。
片側が極端に屋根に近いなど、最初から平衡が
保たれていない場合はこの限りではありません。

このような設置条件が異なる両エレメントについては、
平衡アンテナとしてバランスさせるためのエレメント長を
割り出すことは、それなりの経験と測定器が必要なので、
このような場合は平衡アンテナとみなすことアッサリ
諦めてしまいましょう。
綺麗な8の字のパターンが欲しければ、理想的なロケーション
探しから始めなくてはなりませんから。

まず同じ長さで共振させたあと、平衡アンテナに使用する
リニアバランではなく、平衡・不平衡のどちらにも対応する
バイファイラ巻のコモンチョークでアイソレーションをとり、
アンバランス電流がコモンモードへ流出するのを防ぎます。

                     おしまい

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