VSWR最小=共振点??

引き続き友人とのアンテナの話です。

我が愛すべき友人が、VSWR計で見たら共振点は
ナンボだった。。と言うのですよ。

厳密に言うと・・厳密に言うとですよ。

VSWR最小≠共振点

なのですよ。

数式やスミスチャートなどによる説明は
専門書や専門サイトにお任せして、
計算結果のみからいろいろ探ってみましょう。

50Ωの送信機と同軸ケーブルを使用時のVSWR

共振している(jパートがゼロ)

単位Ω VSWR
10   5.0
15   3.3333
20   2.5
25   2.0
30   1.666
35   1.4285
40   1.25
45   1.11111
50   1.0
60   1.2
70   1.4
80   1.6
90   1.8
100   2.0

jXがゼロの場合はRのみとなり、
R>50 の場合は R/50 が、
R VSWR となります。

100Ωと25Ωでは両者とも2.0であり、
つまりVSWRが2.0である場合、
どちらであるかは分からないのです。

では次です。
Rが25Ωを固定してjパートを変化させると

jX 単位Ω VSWR
0     2.0
-5    2.027
+5    2.027
-10    2.1049
+10    2.1049

インダクティブかキャパシティブかは関係なく
リアクタンスの絶対値が一緒なら、同じVSWRと
なることが分かります。
ここで注目すべきなのは、リアクタンス成分を
含むと、ゼロの時(共振時)よりは、VSWRが
必ず悪くなるということです。

これをもって周波数をスイープした時のVSWRの
最小点を共振点とする方が多いのですが・・・
概ね合っていますが厳密には違います。

違うという根拠

エレメントが1.6mmの銅線で、エレメント長が10.3m、
地上高が15mで14.05MHzに共振させたダイポール
アンテナについて考えます。

この時のアンテナのインピーダンスはRが67.884Ω、
共振周波数においてはjXがゼロなのでVSWRは1.358
となります。
前述のとおりRがそのままの値でリアクタンス成分が
発生するならばVSWRはそれより悪化するのですが、
周波数をスイープさせるとR成分も変化するのです。
このことを忘れてはいけないのです。

例えば14.01MHzのインピーダンスを見てみると
Rが66.983Ω・jXは-4.331Ωとなり、この時の
VSWRは1.352となります。
VSWRが良くなったのはリアクタンス成分の発生より、
R成分が50Ωに近づいたことによるものなのです。

周波数を14.05MHzに固定して、アンテナの
エレメント長を調整した場合はどぉでしょう。
両エレメントを1cmずつ縮めるとVSWRが最小に
なりますが、この時のリアクタンス成分は
-2.826Ωとなり共振点からずれていることが
分かります。

ま、この程度ならVSWR最小値を示す周波数が
共振点であると言っても差し支えない程の
メクソハナクソの話なのですが、共振点だけ
ではなく、VSWRが悪化する要素はR成分と
Jパートの絡みががあるため、VSWR値だけで
アンテナの厳密調整は難しいというお話でした。

HOME

おすすめ