HPF・LPFの回路@CW受信フィルタ用

なんかOPアンプのことばかりになっちゃいましたね。

今度使おうとしているHPF・LPFの回路です。

HPF-LPF
(8ピン-VCC 4ピン-グランドは省略)

・定数の決定 Cを0.032μFとすると、
 カットオフ周波数に必要なRは以下のようになります。
 
 800Hz ⇒ 6.217kΩ
 750Hz ⇒ 6.631kΩ
 700Hz ⇒ 7.105kΩ

 E24系列の抵抗を使用するなら、6.2・6.8・7.5Ωあたりから
 選択しますが、そんなに急峻な特性ではないので、拙生なら
 6.8Ωあたりを使うでしょう。ただし24系列は最大5%誤差なので
 揃ったものを選んで使うと良いでしょう。
 そんな適当なことは絶対許せない!という厳格な性格を
 お持ちのかたは、E96系列やE192系列で1%以下の誤差のものを
 お使いください。

 余談ですがE24系列だと5%誤差が被るようになってて、1桁に
 24種類の数字が必要になるというわけです。
 0.5%誤差のE192系列は1桁に192種類の数字があるのですから、
 かなり細かく分かれていて、ほぼドンピシャの値が見つかります。
 拙生は手持ちから最大1%誤差のE96系列を使います。

 オペアンプのゲイン(電圧増幅度 Av)を欲張ってはいけません。
 1(増幅しない)でも良いのですが、一応増幅可能なように
 RfとRsをつけてます。
 なぜそうなるかは端折って結論だけ書いておきますが、
  
   Av=1+Rf/Rs

 となるので、例えばRf・Rsともに10KΩだとしたら、Avは2です。
 Rfが10KΩでRsが20KΩならAvは1.5。
 AV=1とするには、RfがゼロかRsが∞であればよいことがわかります。
 
 ・出力インピーダンスがゼロ(に近い)
 ・入力インピーダンスが∞(に近い)
 ・裸電圧利得が無限大(ではないが相当ある)
 ・周波数帯域がゼロ(直流)から∞(ではないが相当広帯域)
 ・入力オフセット電圧がゼロ
 ・入力バイアス電流がゼロ  
 
 という特性を持つオペアンプだからこそなせる業です。 

このLPFとHPF特性のOPアンプをシリーズに稼働させると、
バンドパス特性を持つことになり、これでも十分威力を発揮します。
LPF出力とHPF出力をステレオ化するなら入力を分割して別途に
使用します。

デバイスは4558です。
なぜなら・・・安い!これが一番の理由です。
A月電子通販でNJM4558DDが8個で200円!
2個しか使っていなかったので6個残ってました。
音にこだわる方にとっては高域が多少なまるとかで、
HiFiアンプに使われるのは、もっと優れたものなのでしょうが、
CW受信用のフィルターでHiFiの必要性はありません。
汎用品でもローノイズ・高裸ゲイン・動作温度や周波数の
範囲などは、十分すぎるほどのスペックであり、電源電圧も
4~18Vと使いやすいこともあります。
というか、他のOPアンプもだいたい一緒なんですよね。
ですからJRCなら2068や3414等、大体のものは使えます。

工作上の注意点は自分の電波でアンプIを起こさないこと。(笑)
受信機のヘッドフォン端子などから信号を取り出す際に、
コモンフィルタをお忘れなく。
また低周波的にはグランドループを断ち切らないと、不要信号
(ハム等)を拾いかねないので、フレーム(金属ケース)には
0.01μFくらいのキャパシタで高周波的に落としておき、低周波の
グランドと分離させておきます。
入力のジャックや基板上のコモンを直流的に金属ケースから浮かします。
回路のグランドは基板上なので、フレームから浮かすのは容易ですが
入力ジャックはベーク版などで浮かす必要があります。
ケースを非金属とし、必要な分だけアルミテープなどで内側を
シールドするのも手ですね。

他はOPアンプの持つ広帯域や高利得という特性を逆にぶっ殺して
使うのですから、広帯域を保ち高利得時に発振しないように
位相余裕をどうちゃら・・・等の気遣いはまったく無用です。

一般的な注意としては、OPアンプはDCも出力するので、物によっては
カプリングCをつけ忘れたまま(またはショート状態で)ヘッドフォン
等を繋ぎ込むと、壊してしまう恐れがあります。

ノイズをかき分けて微弱な信号を篩いにかける方法として
究極と思われるのがロックインアンプです。
拙生は既製品を某研究室で拝んだことしかありませんが、
確か50万円弱くらいと聞きました。
基準参照信号の周波数を固定し、かつ不要な機能をそぎ落として自作すると、
キモとなるのは乗算用ICですが、調べるとLMC567なら1000円もしませんし、
AD734やAD835でも2千円程度で入手できるので、他の部品を入れても
数千円でできる?と思われます。(本当か?)

究極と言いつつなぜ作ったことがないのかというと、基準参照信号の
デューティや位相をシビアに調整する必要があるらしく、その昔
ノイズリダクションなど位相合わせにシビアな他の回路の自作に
ことごとく失敗したトラウマがあるからです・・・

ロックインアンプの基本は、トーンジェネレータで
取り出したい周波数成分(基準参照信号)を生成し、
トーンデコーダでロックインレンジ(基準参照信号と位相が同期)の
信号が検出された場合にのみONにして出力します。
そのON・OFFで生成したトーンをスピーカで鳴らしたり、
LEDを点灯させることができます。
またPCなど外部へ信号を送る必要があるときは、ノイズや
アイソレーションをを考慮し、フォトカプラを介してやります。

今のところこいつに手を掛ける気はありませんが、APFやLPF・HPF、
その組み合わせによるステレオ化などを試して余力があれば・・・
いやいや、たぶんやらないでしょう。。。

最近新しい情報に全く疎いのですが、気付かないだけでもう導入されている
無線機があるのかもしれませんね。

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