Q

本日は夕張方面でのお仕事でしたが、早く
終わったので寄った先の某所で、真空管
自作派の方と、共振回路のQの話になりましたが
どぉも噛み合わない。。。

聴けばIFTまで自作しようと考えているほどの
マニュアックな方ではありましたが、共振回路に
使うQと、LやCの裸のQの区別、そして一番
噛み合わなかったのは共振回路において実際の
回路上での話をしている筈なのに、いつの間にか
無負荷Qにすり替わったりするためでした。。。

氏は複同調のIFTを一般的な455KHzではなく、
任意の周波数にするために手巻きしたいとのことで、
細いボビンにハネカム巻きは難しいですよね、
と言ったら、ハネカムじゃなきゃダメなのか?
と尋ねられたので、そこからからQ(←拙生の
話ではない。w)の話になりました。

一通り巻線間の結合容量によるQの低下の
お話をさせていただいたのですが、複同調の
結合を疎にしたりLC比でQを高くできるのでは?
という反論が出てきました。
それってLの単独のQ値ではなく回路Qですよね。。。

で、時間切れで最後まで噛み合わないままだったのが
スッキリしないので、拙生にとって馴染みの深い
【Q】というものについてちょいと書いてみます。

LとCの単独Q値

見た目はLでも実際には若干のRやC分を持ちます。
見た目はCでも同様に若干のRやL分を持ちます。
LやCの単独のQ値は拙生流では、いかに純粋な
成分であるかという度合だと思っています。
扱う周波数が高ければ高いほど余分な成分が
でしゃばってきて純粋度を下げてしまいます。
つまり単独のQは扱う周波数によって変わる
値であるということであります。

 QL=ωL/RL
 QC=ωC・RC (コンダクタンスはRCの逆数である)
   ω=2πf 

途中の面倒くさいやつを省略し、簡単な記述に収まる
結果のみにしましたが、数式が苦手な方は読み飛ばしてください。      
ただ式中にωが入っていることからQ値は周波数(f)に
依存する値であることがわかります。
周波数に言及せずにVCのQ値が・・・と語る人は
本当の意味が分かっているのか、甚だ疑わしい
ということですね。w

共振回路としてのQ値(無負荷Q)

LとCの組み合わせで共振回路が出来上がります。
単独のQでは余分な成分であるうちのリアクタンスは
互いの純粋な成分に吸収されるものもありますが、
R成分は大きく回路Qに影響します。
このR成分の影響は直列共振なのか並列共振なのかで
異なる。。。というか真逆になります。

LC並列共振回路に更にRが並列に入り込むと
Q値が下がります。
Rが無限大で(R成分が存在しない)理想状態であるときは、
回路のQ値はLC比のみに依存します。
Qが高いと通過周波数帯域が狭くなり、通常なら優れた選択性が
喜ばれるのですが、帯域の広いバンドで一度調整した後は
外から調整ができないような同調回路もあり、通過帯域が
狭いことが不都合になる場合、抵抗をぶら下げて故意に
Qを下げ、帯域を広げることをることをQダンプと言います。

  Q=R・SQRT(C/L)

式からもRが大きいほどQ値は大きくなり、
無限大だとQ値も無限大になるのが分かります。
Rがゼロのときは・・・ってこれはショートです。(笑
またLC比で見ると、Cが大きいほど、Lが小さいほど
回路のQ値は高くなります。

では直列共振ではどぉでしょう。
LC直列共振回路に更にRが直列に入り込むと
Q値が下がります。
Rがゼロで(R成分が存在しない)理想状態であるときは、
こちらも回路のQ値はLC比のみに依存します。

  Q=SQRT(L/C)/R

Rは分母ですから、ゼロのときはQ値は無限大、逆に
Rが無限大のときは・・・ってこれは断線です。w
LC比で見ると、Lが大きいほど、Cが小さいほど
回路のQ値は高くなります。

このように直列共振と並列共振におけるRやL/C比の
振る舞いは真逆となります。

実際の共振回路

LやC、共振回路が単独で存在しても、なんの役にも
立ちませんよね。
通常は他の回路に組み込まれていて、例えば入力側に
高周波電圧が供給され、出力側に負荷となるものが
ぶら下がることになります。
そうなるとあちこちにL・C・R分が様々の形でくっつくので、
当然無負荷Qの計算は崩れます。
共振回路の同調のズレは調整するとして、共振回路に
ぶら下がる抵抗分は、ぶら下がる位置によっては、
Qダンプを引き起こしたりもします。
1次側には前段素子の出力容量や配線容量、配線損失等々が
ぶらさがり、2次側には次段の入力容量や配線容量、
配線損失等々がぶら下がりL/C比に影響を与えます。
例えばデバイスの入力や出力容量は固定されているので、
低い周波数では気にならなくとも、高い周波数では、
検討課題として大きなウエイトを占めることになります。

また複同調型のIFTでは、2つのコイルが密に結合しても
Q値は下がってしまいます。
なので、IFTの中を開けてみると分かるとおり、
特に通信型などの狭帯域なIFTの2つのコイルは
結構離して巻いてあるのです。
Q値の大小は選択度と損失の良し悪しに直結します。

長くなってますねぇ。。。
CのESL(等価的にCにシリーズに寄生するL分)や
ESR(等価的にCにシリーズに寄生する純抵抗分)、
IR(等価的にCにパラレルに寄生する純抵抗分)
などについては時々書いていますが、
LやCのQ値が下がる原因や、無負荷Q、回路に
組み込まれたときのQが下がる要因などについて
書き始めると留めなくなってしまいますので次回に・・・
ということで。

なおハネカム巻きはハニカム巻きとも言いますが、
拙生は巻き方が下手くそで含羞む巻きになりますけど。。。ww

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