スタック効果の嘘?本当?

道南方面の出張で宿にて暇に任せてのエントリです。

komagatake
    大沼公園駒ヶ岳付近でのお仕事

2tower
    こんなタワーが欲しいです。1本でもいいです。。。w

では表題のスタック効果についてです。

Quadにするとスタック効果で打上角が低くなる・・・
というのは間違いです。

例えば10m高にあげた18Mの5eleQuadと5eleYagi。
(利得などは一緒とする)
キョウビこんな条件で設置することは少ないでしょうが、
理想的な高さを確保できないため地面の影響が大きい場合は、
確かに八木より0.5°程度わずかに低くはなります。
下側のエレメントは上側のエレメントに引っ張られ、地面からの
影響が少なくなるといわれています。
しかし1λ(≒17m)も上げれば、両者とも12.6°となります。
(条件:平地および一般的な大地の比誘電率および導電率[S/m])
Quad低打上角の神話は、地上高を取るのが困難だったイニシエの話で、
20m以上のタワーがニョキニョキ建っている現在では、都市伝説と
なってしまいました。(笑

Quadはλ/8の垂直エレメントがブームの上下に伸びているて、
ベイント型ダイポールのλ/4間隔スタックと言われています。
実はブームまでの高さ、アンテナゲインが一緒ならば打上角
(巨視的に見た垂直パターンにおけるメインローブの仰角)は
ほぼ一緒なんです。
これは八木アンテナのスタックも同様であり、打上角だけでいうと、
スタックより高いほうのアンテナ単体(下のアンテナはなし)
のほうが仰角が低いんです。
ただしスタックにしたためにゲインが取れた分、仰角パターンが
絞られるために、若干は打上角が下がります(微々たるもの)が、
上記の5eleシングル八木を20mから上下に4m間隔(16mと24m)に
置いたスタックでは10.3°程度であり、20mhighのシングルと
ほぼ一緒ですので、24mのシングル八木単体の9.3°よりは
1°高いと言うことになります。

スタック効果のあるアンテナでは、上下のエレメントの
中央付近にエネルギーが集中するため、利得分のパターン変化
分しか打上角は下がらず、同じゲインならほぼ一緒ということです。

これでは終わりません。(笑

ところが実際に八木のスタックやQuadを使用すると、確かに
シングル八木組とパイルアップ時の飛びが違い、遠距離では
有利なのに、近距離では不利だったり。
拙性も全盛期(拙生にも一応全盛期あり・・・w)にQuadを使用した
経験があり、他の局と比較すると入感し始める、またはフェードアウト
するタイミングが違うことを体感しました。

なぜでしょう。

メインローブのピークでない低角度の部分で、八木よりQuadのほうが
利得が大きいのではと言っていた方がいます。
最近は実に精巧になったシミュレーションソフトを使うことで、
メインローブのピーク以外でも仰角ごとにちゃんと計算してくれます。
例えば上記のアンテナで比較すると、確かにQuadはその打上角となる
仰角の上側で八木よりも減衰が早く、下側では減衰が遅いという
結果がでましたが、目くそ鼻くその世界です。

仰角11°のアンテナで考えると・・・
仰角11°より上の(たとえば15°とか)であれば、ピークと
比較して八木が-1.2dBなのに対し、Quadは-1.3dB近くは減衰します。
逆に5°では八木が-3.45dB、Quadは-3.38dBなのでほぼ一緒なんです。
いろいろな条件で計算しても同様な傾向となります。
ですから上述の説は当たっていないと判断できますね。

思うところQuadの良いところは、マルチバンダーでもフルサイズで
巻けるので、トラップ入りマルチバンドの八木や、フルサイズでも
一本のタワーに何バンドかの八木をスタックにするよりは、効率が
落ちないということだと思います。
またマルチバンドに巻いたとしても、単バンドと比較た各バンドの
仰角や垂直パターンの乱れは、八木の他バンドをスタックしたものと
比較するとそんなに大きくありません。
もし理想的な高さのタワーに1バンドの八木しか上げていなければ、
ゲインなどのスペックが一緒ならQuadと比較して遜色はないはずです。
実際に拙生も20mバンドにおいて、29mhighの4eleQuadを使い倒してから
ほぼ同ゲインの5eleフルサイズ八木に上げ換えましたが、上に30mや
40mバンドの八木を上げるまでは、飛び受けに違いはありませんでした。
他局と比較した入感し始め・フェードアウトのタイミング、距離による
得手不得手はほぼ同様でありました。
つまりアンテナの違いではなく、ロケーションや設置条件による
違いだったのですね。

ところこれらは比較的理想的な環境においての話しであります。
拙生の体験談のおける当時のシャックのロケーションは
石狩平野のど真ん中の田園地帯で、お隣が数100m離れているとか、
高い建造物ゼロ、遠くに見える山並みは5°以下という条件です。
14のアンテナに影響するので、高さを15mに抑えた18の5ele
八木でも、このバンドのスーパーステーションとなんとか
肩を並べて遊べたというロケーションでした。

これが住宅密集地などではかなり違ってきます。
         *土地係数だの面倒な話は省きます。
測定が困難なためやる気も起きませんが、建造物などの影響で
垂直面パターンがどぉなっているのかは想像も付きません。
このような条件では八木アンテナより地面の影響が軽減される
Quadが有利と思われ、実際市街地Quad組は良く聞こえていました。
シングル八木の場合は地面の影響を少なくするには高さを上げるしか
方法はありませんね。
たとえば平地においては、カリブ海に有効と言われる仰角10°は、
17mバンドでは22mの高さで実現できますが、市街地ではよほど変な
コンディションでない限り30m高のほうが絶対飛びます。

おっと、明日(日付的には本日)の作業の手順書を再確認
しておきたいのでこの辺で終わります。
続きはまた明日・・・ということで。

HOME

おすすめ