7F13Rアンプ修理

4半世紀位前に製作を協力した7F13Rアンプの
修理を依頼されたので修理と共にメンテを行いました。
残念ながら撮影拒否ということで写真はありません。

7F13Rについて

陽極損失が1.5KWですがフィラメントは6V48Aと
300W近く喰い、MAXでEpが2500V・Esgが1000V
・IPは1AというSSBでは使いづらさもあり、拙生的には
あまり興味がわかないセラミック管でした。
更に各電極はラジアル構造で、専用のソケットが
入手できない場合はフィンガーなどで自作が必須となり
高い精度の細かな作業は面倒でした。
また損失の割にはプレートの冷却フィンが大きくなく
過剰に吹いてやらなくてはいけないことも製作意欲の
わかない要因の一つでした。
(OUTの割には大袈裟な作りになる。)

ところがフィンガーを実に綺麗に同心円状に加工し
ソケットを自作し、5KWアンプにでも使えそうな
シロッコFANを奢って14から上のハイバンド専用
1KWアンプにチャレンジされた御仁がいましたが、
いつまでも完成しないため、SSB向きではないのでCWに
特化したアンプならと言うことで最後の部分を拙生が
手伝ったという経緯があります。
Epを高め(最大負荷で2500V)に、特性表からEsgを400V
程度にしたことでSSBでもちゃんと使えましたけど。

所謂F球が流行った時期があり、猫も杓子も(失礼!)F球で
アンプを作り始めたのですが完成まで自己完結した方は
その中の半分以下だったと思います。
で、最後を手伝ったというパターンは結構あります。
そんな中でも7F13Rを使ったアンプは初めてであり
他にお目にかかったこともないので希少価値アリの
アンプと言えましょう。
勿論UHF1KWのサテライト用第1号という輝かしい歴史を
持っていると言った意味でも貴重なセラミック管であります。

何が壊れたか。

14から上のこのアンプは当時14・21・28のトライバンダー
のアンテナしかお持ちでなかったためにその3バンドの
入力回路を切り替えていました。
出力側はインダクタンスの小さな(ハイバンドしか使えない)
ローラーインダクタで耐電力2KWといったところです。
フルに出せばそのくらいは出てしまうのでALCで1KWまで
抑えていますが28MHzで1KWにすると14MHzでは1.2KWを
オーバーするのでバンド別にALCを設定していて
すべてのバンドでパワー計の針を1KWピッタリにおさめ
免許も3バンドのみ1KWという徹底ぶりです。(笑

で、最近WARCバンドに興味を持った御仁は、への字型の
トライバンダーをタワーに括りつけて運用をはじめました。
そこでローラーインダクタ使用の14から上のアンプなら
18や24もOKだろうと、その2バンドも1KW免許を下ろせるか
ダミーでお試しをしたわけです。

入力回路を18は21、24は28MHzのポジションを
使おうとしたのですが、18HHzチューニング中に
白煙があがり、きな臭い臭がしたのでスイッチを切り、
数年ぶりの電話で拙生にヘルプ信号を発信したと
言うことです。

大体想像がついたので必要と思われる部品をかき集めて
おじゃましてみました。
オイル入缶ダミーがすぐ熱くなって間欠的にしか使えないとも
おっしゃっていたので3KWダミーも持参しました。

RF部分を開けてみると想像したとおりプレートチョークコイルが
黒く焦げています。
つまり最初に製作した3バンドでホールがないことの確認作業は
しましたが、18MHzにホールが発生していたのでしょう。

どぉ修理したか。

まずはプレートチョークを取り外し、持参した分割巻きの
ものに交換しました。。。というか結果的にそれだけです。(笑

結果

電源とRFデッキを切り離し、電源をONしてみると各電圧は
正常なので電源部は大丈夫なようです。
で、RFデッキを接続し18MHzでチューニングを取るとALCを
外した状態で何事もなく1KWオーバーのアウトが確認できました。
24MHzにおいてもそれより7%程度落ちましたが1KW以上は
確認できました。

一応修理は出来たのですが開けたついでにホコリを
払ったりローラーインダクタを磨いたり、各スイッチの接触や
可変抵抗類のガリを取り除いておきました。

また最近Epがいきなり落ちる時が時々あるということなので
フィラメントに入っているリレーの切片も磨いておきました。
このリレーがメークしない限りEpは掛かりません。
フィラメントの電圧が落ちた時にリーレーがブレークし
即座にEpも落ちるようにしてあるので、接触不良の可能性が
高い・・・というか他も調べた結果それしかないという
結論に達したというわけです。

オマケも付いてきた

で、もともとの3バンドを測定し忘れたので測定すると
5%近くアウト余分にが出るようになったとのことで、
再度18・24を測定するとやはり最初より5%弱パワーアップしています。
メンテ時にネジ止めされている貫通CやセラミックCの一部、
コモンの還流路となる銅板の接続部など、緩みがあったので
増し締めをしたのが功を奏したと思われます。
定期的なメンテが大事ということですよね。

退散

28MHzの固定コイルを足し増ししまだ余裕のあるローラー
インダクタを目一杯誓えば10MHzでも使えるのではということと
入力回路を切り替え式からLPF型に交換するための実験を
したいので3KWダミーの長期貸出をせがまれましたが
いつ必要になるのか分からないので丁重にお断りし
6バンドの改造した際のALCなどのアドバスをして退散。
所要時間3時間弱と言ったところです。

2〜3KW仕様の部品を使って贅沢?に製作した超1KWアンプは
まだまだ活躍しそうです。

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