スワが高いと。。。

ここでは
・送信機は50Ω不平衡出力で50Ωの同軸ケーブルを使用。
・ブラウンアンテナ(通称グランドプレーン)などの
 不平衡のアンテナの場合、同軸ケーブルとアンテナの
 アイソレーションは取れている。
・水平のダイポールや八木アンテナなど平衡アンテナの場合
 バランなどで不平衡・平衡の変換が完璧に行われている。
・アンテナ入力インピーダンスは、50Ωからとんでもなく
 かけ離れてはいない。
を条件にしたお話になります。


スワが高いと。。。

スワ(SWRまたはVSWR)が高いと同軸ケーブルから電波が発射され、
インターフェアが出やすい。。。
そんなことをよく聞きますが、VSWRが高い原因によります。
単に同軸ケーブルとアンテナのインピーダンスが不整合で、
反射波のよって発生した定在波が原因で、同軸ケーブルから
電波が発射されるというのはハッキリ言って間違いです。

VSWRが高い原因

アンテナに直接同軸ケーブルをつなぎ込んでしまった場合のように
アンテナと同軸の電気的な境目がはっきりしない場合を除けば
VSWRが高い原因は同軸ケーブルとアンテナ入力インピーダンスの
不整合によるものです。

進行波

今更の話ですが、同軸ケーブルに高周波を流した場合、
芯線と外部導体(編線など)に流れる電流は芯線が
プラスなら外部導体側はマイナスであり、逆の場合も
ありますが、つまり逆相かゼロです。
これをノーマルモード、またはディファレンシャル
(差動)モードと呼ぶこともあります。
         *ここではノーマルモードを採用

逆相であるため引きつけ合い、芯線と外部導体が面した
表面に近いところにだけ電流が流れる。
つまり外部導体には、芯線に近い内側の表面に電流が流れ、
外側(シース側)には流れないため、シールド効果が発生します。

同軸ケーブルとアンテナのマッチングが取れていて
反射波がない場合、伝送されるのは進行波のみとなりますが、
よほど粗悪な製品であるか、同軸ケーブルが保証した
スペックを超えるような周波数で使用しない限り、
上述のシールド効果により、同軸ケーブルから電波が
発射されることはありません。

反射波による定在波

では同軸ケーブルと負荷(アンテナ)のインピーダンスが
違っていて、進行波のすべてがアンテナで消費されず、
一部が反射して定在波が発生(VSWRが高い)した場合は
どぉでしょう。
実はこの反射波もノーマルモードなので、それによって
発生する定在波もノーマルモードであり、同軸の
相対する芯線と外部導体には逆相で同じ大きさであるため、
進行波のみのときと同様に、シールド効果を失うことはなく、
同軸ケーブルから電波を発射することはありません。

同軸ケーブルからの電波の発射

ノーマルモードでは外部導体の内側(芯線側)にしか
流れない電流が、外側(シース側)に流れてしまい、
同軸ケーブルから電波を発射してしまうのは、
コモンモード対策が不十分だからです。

例えば平衡アンテナである水平ダイポールの中点に
不平衡な同軸ケーブルを直接つなぎこんだ場合。
説明すると長くなるので次回に回しますが、
平衡アンテナの中点は等価的には大地(アースと)
結合されています。
送信機もアース線で大地と結合していますし
アース線をつないでいなくとも、浮遊容量等で
結合していますので、外部導体とアンテナに
接続された部分から結合している大地を経路として、
送信機側と結合した大地に電流が漏れてしまいます。

外部導体の外側に流れる電流は芯線に流れる電流と
同位相になります。
外側に流れた分内側の電流は目減りします。

もし直流ならアンテナエレメントの片側がショート
したことになりますが、それぞれの大地との結合の
度合いや、エレメントの共振作用により、直流のようには
なりません。
しかし、外側に流れる電流による同軸ケーブルからの輻射で
インターフェイスを発生させたり、受信時には特に近隣の
ノイズの影響を大きく受けてしまいます。
大地へ流出した電流の分だけ、片側のエレメントに
流れる電流が目減りするため、パターンも乱れます。
つまり正常なアンテナの体をなさないと言うことですね。

不平衡:不平衡なので、接地アンテナなどには
同軸ケーブルを直接つないでも良いのでは?
と思われがちです。
アンテナのと送信機の接地が同一ポイントでないので、
接地抵抗が高周波的にゼロでない限り、接地抵抗に
電力が消費されます。
そこに発生した電圧分だけ同軸ケーブルの外部導体が
浮いた状態になってしまいます。
これも様々なインターフェアの原因となるため、
コモンモードフィルターを入れておきます。
挿入場所は平衡アンテナと同様です。
平衡アンテナへの採用と違い、不平衡:平衡の
変換がない分、阻止インピーダンスは1kΩ以上、
できれば2KΩ程度でOKだと思います。

* 不平衡:平衡でリニアバランの代役を担わす場合は
  これでは足りず、3〜4KΩはほしいところです。

コモンモードやバランの話は、別ページや本文でもやっています。
実は「スワ」って嫌いな言葉で普段は一切使いません。笑

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