50Ω入力インピーダンスのアンテナ

50Ω入力の八木アンテナを設計し、実際に使い始めた時から、
何年経ったでしょうか。
14MHz5エレ、18MHz6エレ・7エレ、21MHz6エレ・8エレ、
24MHz7エレ・8エレ、28MHz8エレ・9エレ・10エレ、
10MHz5エレ等々、計算上でも優れていることは予想がつきましたが、
作ってみると、こんな良いものはない!って感じです。

50Ω入力のものは、かなり前から無線雑誌で散見できましたが、
ほとんどのものはブームが短くナロースペースで、たとえば
4エレメント八木だと、D1がマッチングのためだけに
付いているような感じで、実際3エレメント八木程度の
ブーム長しかなく、帯域も狭いしゲインも今一でした。

拙生が設計したアンテナは確かにD1はRaに近いものの
少なくとも4エレ半波長、6エレ1波長以上という、
昔ながらの先輩の教えをを忠実に守っています。
18MHz6エレは少なくとも16.8(実質16.6)mの如くです。
     (現在の18MHz7エレは23mブーム 笑)

確かにゲイン重視でエレメント長や間隔を決定した場合、
50Ω入力に限定したものより、多少ゲインが高く取れると
言われてきましたが、6エレ1λ、4エレ0.5λのブーム長に
おいては、0.5dB以下の差で収まるスペーシングと長さを
見つけました。
この0.5dBという差ですが、ゲイン重視での設計では
入力Zは通常50Ω以外になり、なにがしかのマッチング
セクションが必要となります。
メーカ製を見ると、ほとんどがヘアピンマッチですね。
あのヘアピンを見てどう思います?
ブームからわずか数センチのところを、細いアルミ棒で
長々と這わし、ビス止めの接触部分も数ヶ所多くなります。
長年使ったアンテナを下ろすと、粗方接触部分には
白い粉が噴いていますね。
電流が一番多く流れる部分の接続による損失や、降雨時や
雪が積った時に、損失が発生していないと言い切れますか?
接続が多いということは事故の発生も多いということです。

その点50Ω入力だと、1:1のバラン直結ができることで
マッチングロスは当然ゼロ、シンプルな構造になるために
天候による不安定要素もないし、事故も少ないでしょう。
しかもヘアピンなどでの自作は、計算しきれない部分があり、
最終的にはカットアンドトライによる追い込みが必要ですが、
50Ωに決め打ちした場合、ほとんど調整は必要ありません。
どうです、そう考えると0.5dBのゲインなど補って余りあると
思いますし、実際の使用感も抜群です。

ちなみに現在のシャックは設備共用させていただいており
拙生が参加したときには全バンドでメーカ製アンテナを
使用しており、高さやロケーションも悪くはないので
それなりに飛んでいましたが、21MHzの7エレが不調で
上げかえることとなり、どぉせならと50Ω入力の
8エレを上げたところ、エレメントが1本増えただけでは
考えられないほど段違いに聞こえ飛ぶようになったのを
皮切りに、18MHz6エレを7エレに、28MHz7エレを9エレに、
24MHz7エレを8エレに交換して高成績を残しています。

ちなみに最近はアンテナ設計用のシミュレーターを
駆使すればそれなりのアンテナができるようになった
良き時代ではありますが、設計値に長年したためた
経験値であるデーターを加味すると、一味違った
アンテナが出来上がります。

モヤっとかかった霧が一気に晴れたような・・・
設備共用で一緒に運用している方の便です。
大きな耳垢が取れた感じ!?とも言っていました。笑

失敗談 10MHz5エレ

50Ω入力のアンテナで唯一失敗したのが10MHzの5エレです。
せっかく20mブームで160Kgあるアンテナを上げたのに
その前に上げていた4エレよりよろしくない。。。
これはエレメント長の補正値を入れ忘れたという
単純かつ初歩的なミスでした。💦
アルミパイプを使った10MHz八木アンテナのエレメントは
40Φあたりから先っちょが少しずつ細くなり、最後は
10Φというのが通常です。
目的周波数に共振させるためにはエレメント長は
元口と末口の比が大きいほど長くする必要があります。
この補正値を入れ忘れて計算してしまったために、
バンド内より上の周波数のアンテナになってしまった
というわけです。。。
それからは計算後に他のシミュレートソフトを使って
検算することと、組み上げたアンテナに再度巻き尺を
当てることを必須としております。

ちなみに現在使用している10MHzのアンテナは
メーカー製の4エレなので、そろそろ自作のものに
交換しようかと言われそうですね💦

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