大きいのも載せれって・・・?

載せれるわけがないじゃないですか!(笑

だいたい大きいのってどのあたりを言ってる?
最近は3CX3000A7や7FあたりのPdが一桁KWじゃ
もう大きいと言わないかも。
4CX15K?それとも8F68?

まぁ・・・一応・・・(苦しい・・・)高周波電熱器として
ダミーを温めたことのある経験からちょいとだけ一般論を

何度も言ってますが製作に関して言えば箱が大きくなり、
耐電流や耐電圧、耐電力に見合った部品や配線を選択する。
回路的には4CX15000AもGU-74Bもそう変わりありません。

そうは言ってもでっかいのにはいくつかのノウハウが
必要になります。

【 高圧 】 

4CX15000Aを例にすると、Epは10KV、Esgですら2KVMAXです。
9KV位掛けてみたかったけど適当なトランスがなく、20KVAの
柱上トランス1次2次を逆さまで6.6KVを取り出し、整流して
9KVを捻り出したことがあります。(オイル漬けのままの外付けです。)
2.5Kや4KVなどとは明らかに別世界の電圧です。

古の話では業務においてN*K教育放送(ラジオ)500KWの終段
9Fなにがしx4を扱ったのが最高Epで、13KV(14Ax4)でした。

感覚的なお話しになりますが、自作で扱った電圧で別世界を
初めて体験したのは4-1000Ax1およびx2を試作していた時です。
最初はベタコンGGでゼロバイアスでOKなように5KV以下の電圧
でしたが、その時はそれ以前に扱った4KVと同じで、何事もなく
実験は成功しました。
しかしAB1GGでお試しした時は、いただき物の某メーカのTV球
アンプのトランスでEsg1KV強を作り、手持ちの4.2KVトランスを
整流し、Ep約6KVを印加しようとたくらみました。

製作がある程度進み、6KVの電源を試そうとSW替りの
ブレーカをONした途端、家のブレーカが落ちました。
ブリーダー抵抗以外はまだ負荷も掛けない状態だったので、
何か間違ったかと配線を見直しましたが大丈夫そう。
それが励磁のためのインラッシュだと気づくまでに、
かなりの時間を要しました。

で、インラッシュカレント対策を施し再チャレンジ。
SWをオン!
突然シャーシ上に火花がパチパチパチ!と散り
心臓が止まるほどびっくりしたことを覚えています。
幸いなことにその現象はすぐに収まり、おっかなびっくり
でしたが、自作の高圧プローブで測ると目的電圧がちゃんと
出ていたので一安心でした。

今なら高圧回路をオンする前には、必ず入念な清掃を行いますが、
その時はキリコなどを簡単に取り除いただけだったので、静電気で
残った埃などが火花となって脅かしてくれたものでした。

業務9Fは水冷管でしたが、球を抜き挿しするときに幾分か
漏れた水分をかなり入念に拭き取ったのですが、ほんの
少しだけ残っていたのですね。(水滴ではなくお湿り程度)
高圧を印加した時にバチバチっと。。。
すぐに収まって事なきを得ましたが、この時も結構心臓が
バクついたことを覚えてます。

このような現象の他に突起物への放電(コロナ放電)が
起こりやすくなるのが6KV位であると思えるようなことを
体感した事例があります。

以前このブログの前身であるホームページで
「アンテナが風にとんだ日」とともにご紹介した
「リニアが燃えた日」という悲しい物語の再現です。

知人のアンプ火入れ式に立ち会ったときの話です。
数日前の事前チェックでプレートチョークのコールドエンドと
貫通Cからの配線の接続部分に突起があり、RFデッキ側板と
10mmちょっとしか離れていなかったため、飛ぶ可能性ありと判断し、
突起をとって距離を稼げる配置や向きに変更するようにと指摘して
あったのですが、知人は突起や配置等には手を掛けずに、一巻き
数千Vの絶縁となるガラステープを突起部分に2重に巻いて
おしまいにしていました。

ここまで書けばご想像の通りの結末が待っています。
そんなこととはつゆ知らずSWオン!
Epメータは勢いよく6KVまで跳ね上がり順調のように見えたので、
今度はEsgを見ようとメータの切り替えに手を伸ばしたときに、
パチ・・・・パチ・・・という音が聞こえはじめ、その間隔が
だんだん狭まり、すぐにリズミカルにパチパチパチ・・・
そしてRFデッキから煙が上がりました。
ボビンに塩ビ系の素材を使っていたために目や喉に刺激が走る
有毒と思われる煙を哀れなRFデッキはボビンが燃え尽きるまで
吐き続けました。
煙が収まって落ち着いてからRFデッキ内部を点検すると、プレート
チョークコイルは見事空芯コイルになっていたことは以前に
面白おかしく書いた通りです。(このブログからは消えている。)

2重巻きでかなりの高圧に対しても絶縁が施されてても、コロナ放電の
突起物に対する電子やイオンの集中には効果がなかったということです。
高圧配線の先端処理は突起にならぬよう十分注意することと、グランド
ライン(シャーシも含む)から極力離れる配置を心がけることです。

7Fや先日の頼まれごとの3CX1200A7など5KVクラスの高圧では
このような現象にあったことがないので、どうやら6KVあたりに
ボーダーラインがあるのでは・・・などと勝手に思ったりしています。

【 大電流 】

大きなアンプは当然扱う電流も大きくなります。
大電流と言ってすぐ思い浮かぶのが直熱管のフィラメント。
球にもよりますが7F71だと4V78A、4CX15Kだと6.3V160Aです。
ちょっとした接触不良が命取りに。

CIMG0718
先日改修したへの5番。
たかだか15V(7.5Vx2シリーズ)21.3Aなのですが、それでも
締め付けが甘いと発熱し、発熱による抵抗値の上昇で益々発熱。。。
結果こうなってしまいます。
78Aや160Aなら完全にアウトですね。

RF的にはハイパワー・ローZのロード側に大きな電流が流れます。
バンド切替SWや追加の固定C、送受切替リレーなどは電流容量に
十分余裕を持たせ、大きな電流が流れることを意識した配線が必要になります。
努々半田のチョンヅケなんて接続をしませぬように。
ネジ・ナット止めの場合は製作後に増し締めしましょう。

意外と無頓着に見える製作例が散見できるのは固定C。
耐電圧がいらないからと小さなもので済ませてはいけません。
電流がロードVCと分流するのですから、電流が流せない
小さなものを使用すると、パラったのに同調が・・・
なんてことになりかねません。

無頓着で一番困るのが還流経路の扱い方。
RFタンク回路の電流の帰路はシャーシになるのが一般的ですが、
部品や配線の電流容量に気を使っても、リターンに気を使かって
やらなければ片輪走行状態になってしまいます。
銅板や銅帯などでリターン回路を確保することは、今や小さな
アンプでも行われる一般的なノウハウになりつつあることは
嬉しい限りですが、高い周波数になるほど、また大電流になるほど
安定動作には完璧な還流経路を確保しなくてはなりません。
いつも言ってますが、気持ちよく流れられるよう高周波の
気持ちになって・・・これ大事!

【 耐電力 】

耐電力には2つ(+α)の注意が必要です。
同じ大電力でも使用ヶ所のインピーダンスにより耐電流なのか
耐電圧なのか、必要スペックを間違えないことです。
ただし扱う電力によっては高インピーでも結構な電流が流れたり
低インピーでもそれなりの高電圧になったりします。(+α)
いずれにせ事前に計算し経年劣化も考慮して十分にマージンを
持ったものを使用することです。
見合った部品が見つからなければ、低インピーでは1/個数の容量を
パラにすることです。(スペースさえ許せばですが。)
電流容量を稼ぐとともにL分もパラにすることで減少するという
賢いやり方と言えます。
ハイインピーで個数倍のCをシリーズにもできますが、同一規格
でない場合思ったような値にならない時があるので要注意です。

【 シールド 】

RFデッキを開けた状態で、10mバンドで高出力を出しながら
調整していると、なんかモゾモゾした感じが・・・
高出力とはどの程度なのかはご想像にお任せしますが、
7F71RFの一般的な出力での話です。
拙生は電磁波に対しては鈍感の方だと思いますが、敏感な
方ならモゾモゾで済まないかも・・・ですね。
(以前ハムショップの測定ベンチで2.4Gとオプションの
 1.2GHzの内蔵ユニットで長時間送信テストを行っていたら、
 拙生は何も感じなかったけど、ちょっと離れたカウンターに
 座っていた顔見知りの3人からやめてくれコールが・・・
 ダミーの漏れでみなさんモゾモゾしてたのですね。
 真ん前いた拙生はそのくらい鈍感(無神経?)なんですけどぉ。)

アンテナの電波防護指針がうるさくなってきているの昨今、
大きい奴の特にハイバンドでは、RFデッキは完全2重シールドに
するくらいの設計方針が無難かもしれません。
(運用場所と設置場所を離せばOKです。)

ちっちゃい奴と比較して、必要なでっかい奴の特別な
ノウハウってこんなものでしょうか。

【 余談 】

例えばブラシコロナやらストリーマコロナがどぉちゃらやら、
火炎コロナはイオンや電子が集中することで密度が異常に高く、
温度は数千℃に達する。。なんてことを理屈で覚えていることも
大事ですが、体験しなきゃ分からないことも多々あります。

しかしコロナ放電は車のプラグやネオン管だけで十分で、
体験しないで済むのならリニア火災なんてのは体験しないほうが
良いのは当たり前です。
そのためにもアンプ製作の文献などの成功例だけではなく、
web上やローカルの同好の士から得るいろいろな失敗談は
貴重な情報であることは間違いありません。

ところで今雷鳴ってます。
自然界の火花放電も絶対体験したくありませぬ。(笑

【追記】

一つ大事なことを書き忘れていますねぇ。
でっかいやつでそれなりに絞り出す場合の発熱についてです。
フィラメント配線の接触不良による発熱については書きましたが、
プレート損失やスクリーングリッド損失、フィラメント(ヒーター)や
ブリーダ抵抗の消費電力はそのまま熱となります。
トランスや他の部品からの発熱もかなりのものになります。
球に関してはちっちゃいのもそうなのですが、特にでっかい奴は
過剰なくらい吹いてやります。
通常は球の下側から吹くのですが、フィラメントのピンも
十分冷却してやる気配りが必要です。
拙生がよくやる手は、下からシロッコファンで吹いて、
上や後ろからアキシャルファンで抜いてやります。
下から吹くだけだとコンテストなどでの長時間使用では
篭った熱でケース(特に上蓋)がチンチンになってしまう
ことがあるからです。
意外と知られていないのがタンク回路のCやLの発熱。
RFデッキ内の空気の流れを考えないアンプでは、特に
ハイバンドで結構な発熱をしています。
接触のみでタップ出しをしているローラーインダクタの
発熱は深刻な事態を引き起こすこともあり、業務用の送信機では
専用に冷却用ファンが付いていることもあります。

で、RFデッキや電源は十分余裕のあるケースにすること。
ブリーダ抵抗を何本か並べた際、間隔が狭くて
埃が隙間に挟まりこびりつくことも事故につながります。

ここで問題なのは大きく作くると、RF(特にハイバンド)的には
トラブルの原因となりやすいため、ケースは大きめRF回路は
こじんまり・・・が理想であります。

【追記 2018/1/22】

訳あって読み返しをしていたら大事なこと書き忘れてる。。。

大電力アンプのRFデッキ内には浮いた金属を避けること。
ロータリSWのシャフトやソレノイドのバネが電気的に
浮いていて、高出力による誘導でそれらに高周波がながれ
真っ赤になったとか焼けきってしまった話しを聞きました。
それを聞いていたので、浮かさない工夫をしてきましたが
一度だけシャフトをシャーシ電位に落とすため、同軸の
網線を使っていたのですが、シャーシ側の丸端子の
締め付けを忘れてしまいチンチンにしてしまったことが
あります。
シャフトは途中からベーク棒でしたし、フロントパネルの
受けもツバ管を流用したため、電気的に浮いてしまったという
ドジでありました。
調整中にバンドを切り替えようと触ったツマミがなんだか
熱く感じたので気づくことができました。

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