定電圧放電管

本日は寒くなると回りが悪くなるローテータw
の交換を行いました。
パンザーマストの1200FXですが、同じ機種への交換は
タワーを含め、どの場合でもマストを持ち上げたりせずに、
アレヤコレヤと隙間を作って古いのを引きずり出だし、
新しいのを滑り込ませる作業で行います。
オーナーが手伝ってくれたこともあり、のんびり
やって2時間程度。。。
急げば30分は短縮できますが、最近は高所作業で
急ぐことはやめにしました。
交換した物はグリスアップし直して予備にしておきましょ。

受信機のフロントエンドや発振部ユニット用の
球を探すのにジャンク箱を引っ掻き回していたら、
VR75〜150や0A2・0B2などの定電圧放電管の在庫が
結構あることに気づきました。

以前試験用にこれらを組み合わせて切り替え、
いろいろな定電圧を引っ張り出せる電源を
試作しようかと考えたことがありますが、
考えただけで終わっていました。(笑
で、ちょど良いトランス・ちょうどよいケースが
手元にあるため再考してみることに。

手持ちの定電圧放電管の放電電圧は以下のとおりです。

VR150及び0A2 → 150V
VR105及び0B2 → 105V
VR75及び0C2 →  75V

それぞれST管・GT管・MT管があり、例えば
GT管ならVR150-GTのように呼ばれるときもあります。
たしかアメリカの規格で0B2は108Vだった記憶が
ありますが、細かいところを気にしなければだいたい
こんなもので、VRタイプと0*2の違いは、流せる電流が
VR**タイプは100mAmax(10秒まで)通常は5〜40mAまで、
0*2は75Mamaxで5〜30mAまでだったと思います。

VR150でまたもや細かいことを抜きにして考えると、
電源からの供給電圧を上げていって、それが150Vを
超えた時点で放電を開始し、150Vになるまで電圧を
降下させるので、負荷側へは安定した150Vを供給できる
という仕組みです。

整流後の電圧が190Vだったとします。
コレにVR150をぶら下げると放電し40V下がり150Vに
なるまで放電し続けます。
放電時は低抵抗になるためそのままだとトランスの容量が
飽和するまで大きな電流が流れてしまい、いとも簡単に
壊れてしまうので、放電するときの美しい光を見ることが
できなくなってしまいます。

ではどぉするかって言うと。。。電源とVR150の間に
電流制限用の抵抗をはさみます。
VR150に流れる電流を40mAで制限したいなら、放電時の
VR150の両端(アノードとカソード)電圧は150Vですから、
抵抗の両端電圧は190-150=40Vとなり、それに40mA流す
抵抗値の設定となります。
つまりオームの法則で40(V)を40^-3(A)で割ってやった
1KΩとなり、その時の消費電力は1.6Wですから、3W以上の
抵抗を選択すれば良いわけです。

オヒオヒ、VR150には負荷がパラに繋がるんだろう?
そして負荷にも電流が流れるけどそのときはどぉなるん?
って声が聞こえてきそう。。。
というか、実際以前受けたことのある質問です。
上記は負荷に全く電流が流れない時の計算ですが、例えば
負荷に10mA流れたとしたらVR150には30mA流れます。
20mmAなら20mmA、30mAなら10mA・・・
トータル40mAでなければオームの法則は成り立たないのです。

じゃあ負荷に50mA流れたらどぉなるのでしょう。
1KΩにも50mA流れ50Vの電圧降下になるためで、負荷側は
140Vとなり、VR150は放電を止めてしまいます。
言い換えると負荷へ供給は安定化された電圧では
なくなってしまうのです。

このように負荷には設定した電流値以上は流せない。。
ということなんですね。
VR150や0A2で安定した150Vが得られたからと言って、
ローカルOSCやBFO、ついでにAGCの効きを良くするために
RFやIFのEsgにも使っちゃえ!なんてことは決して考えちゃ
いけませぬ。
40mA(0A2は30mA)で抵抗値を計算したなら、計算値を
超えた時点で不安定化電源に成り下がりますから。ww

それを踏まえた上で、これらを組み合わせていろんな
定電圧を出力してみようというのが今回の課題です。

両方書くのは面倒なのでVRタイプ3種のみで考えます。

VR150の2シリーズ → 300V
VR150 + VR105 → 255V
VR150 + VR75 → 225V
VR105の2リーズ → 210V
VR105 + VR75 → 180V
VR150単体   → 150V
VR105単体   → 105V
VR75単体   → 75V

でありますが、同じ規格の2シリーズはともかく、
異なる球のシリーズは大丈夫なのでしょうか。
この辺のことは詳しい文献を見たことがないので、
昔やってみたけど大丈夫だったとしか言えませんが、
以下はあくまで拙生が考える異なるシリーズにおける
振る舞いということで、間違っている可能性大につき
最初からゴメンナサ〜イと謝っておきます。ww

冗談はさておきVR150とVR105の組み合わせで考えます。
整流回路からの供給される電圧が290Vだったとして、
255Vとの差の電圧が35V、最大40mAを流すとすれば
間に挟む抵抗値は875Ω(ワッテージ1.44W以上)ですね。

放電前は放電管に電流は流れていないので、875Ωが
無視できるほどの高抵抗であり、ほとんど同じ電圧が
かかっているはずです。
290Vが145Vずつに分圧されたとしたら、まずは
VR105が放電を開始します。
放電を開始した時点でVR105の両端電圧は145Vから
105まで落ちます。
VR150の方はまだ放電しておらず高抵抗のままなので、
電流は流れないと思いますが、VR105の抵抗が一瞬でも
低くなれば分圧比が変わって150Vを超えた電圧となり
放電を開始する。。。と、拙生は思っているのですが。

過渡的な振る舞いは考えづらいし、経験的に大丈夫と
言っても不安は残りますので、当たり前過ぎで面白くは
ないのですが、これを解消するにはそれぞれの放電管に
抵抗をパラに接続するとです。
例えばVR150に150KΩ、VR105に105KΩとか。
最初から150:105で分圧しておけば同時に放電してくれます。
そしてこの抵抗値は放電していない放電管よりは十分低く、
負荷としては1mAなので大飯ぐらいではありません。
考えやすいから安直につけた値ではなく、拙生は適値だと
思っております。(適値は造語らしい。。)

ではこれで大丈夫ということでいよいよ切り替え方式を
考えることにします。

使用する定電圧放電管は
VR150x2・VR105x2・VR75x1 でこれらの2本をシリーズ、
またはは単体として
300・255・225・210・180・150・105・75V が取り出せます。

入力電圧は放電電圧より高めにするのですが、電流制限の
抵抗を1個で間に合わせるなら、どの組み合わせにおいても
入力と放電電圧の差は同じでなくてはなりません。
整流後の電圧が一緒になるようなタップが出ている電源
トランスは特注せなばならず、現実的ではありません。
結局40mAに制限できる抵抗値を組み合わせごとに切り替え
しなくてはなりませんね。

実際にに実現しようとするなら、切り替えは
・多回路多接点のロータリSW
・リレーとマトリクス
あたりなのですが、この段階になると。。。
使用頻度と実験規模に対し5本の定電圧放電管を並べ、
切り替えるのは大げさではないか? 
とか
球はたくさんあるのでその都度必要な分だけ使えば?
とか
電圧差が大きいと抵抗のワッテージがバカでかくなる。
などなど、やらなくても良い方向の言い訳がたくさん
出てきちゃいます。
あれあれ、前回と全く同じ経過を辿ってますって。。。

実は前回はこれがネックになって考だけで終わっちゃった
ということなんです。^^;;
簡単に言うと入力を300V(VR150x2)以上の322Vとし
そのままVR75単体時75Vまでドロップさせるには、
抵抗値は6175Ωでワッテージは9.88W以上ですから、
余裕を見ると20Wクラスとなります。
高耐電圧の半導体使用で連続可変したほうが無難かも
しれませんね。
でもさほど必要がないけど定電圧放電管の在庫あり、
から始まっているので半導体はパスですかね。

ま、やるかやらないかはもうちょっと考えるとして、
とりあえず放電管の組み合わせによる抵抗値の計算と
マトリクスだけ書き上げて寝ることにします。。。

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