LPF薀蓄その2

昨日書いたLPFで早速ツッコミが。。。
最近【効かないLPF】でなんか作ってなかったっけぇ!?
とのご指摘というよりブーイングです。w
はいはい、あれは検査用で、高調波には
こんなに気を使って努力してますアピール
なのですよ。www

では本当に効くLPFはどぉしたら良い?
市販でなけりゃ特注するか作るしかありませんよね。
自作例はweb上にいくつも出てますし、半導体送信機の自作で
出力側にあるのは殆どがLPFですので参考になるでしょう。

原理

実際に作るときは色々ありますがLPFの原理自体は簡単です。
LPFはLとCで構成されています。
Lは周波数が高くなると抵抗分が大きくなり、Cは逆に低くなります。
Xl=ωL
XC=1/ωC
     ω=2πf

で、LPFは信号通過経路にLを挿入し高い周波数を阻止し、
抵抗が低くなるCを通して高い周波数をグランドに
落とすことで、低い周波数のみ通過させると言う仕組みです。

余談

ちなみにHPF(ハイパス)は、Cを通過経路に、Lをグランドとして
カットオフより高い周波数を通過させ、低い周波数を減衰させます。
この2つの相反するフィルターを組み合わせればバンドパスや
デュープレクサなどを作ることができます。

持論

ところでこのLPF。。。
メーカ製のように-70とか-100dBなんて必要なのでしょうか。
昨日書いたように今時のリグは高調波特性に優れており、
必要なのは主に後段につけたリニアアンプの後ろとか自作機で
新基準のスプリアス特性に至っていない場合でしょう。
それでも基本波に対し高調波は悪くても-30とか-40dBとかなので、
ストップバンドで-70dBにしたければ、LPFに求められるスペックは
-30〜-40dB(基本波の通過ロス分は考慮していない)となり、つまり
足りない分だけ減衰させれば良いわけですね。
普通に作れば-40dBなんてのはクリアできちゃいます。
自作したLPFが測定器上で優れた減衰特性ならば、それはそれで
嬉しいのですが、それに拘って手間暇かけるよりは、耐電力や
通過ロス(挿入損失)、入出力のインピーダンスなどに
注力するほうが現実的だと拙生は考えているのですが。

楽ちん計算

LPFを設計するときの計算はweb上でもできます。
例えば
https://rf-tools.com/lc-filter/

日本のサイトもありますが最近サーバーが不調らしく
使えないようになっておます。

ここで試してみましょう。

Responce ローパス
Type   チェビシェフ
Order  7〜9
Cutoff F たとえば10/14共用なら15MHz
Ripple  0.1
In/Out  50Ω

こんなもんでどぉでしょう。
チェビシェフ型の計算時に表示されるリプルとは通過帯域内での
暴れですが、リプルを許容するほどフィルターとしてのキレは
良くなるというトレードオフの関係にありますが、上記の設定では
0.1なので暴れはまったく目立ちません。
ではキレは悪いかって?
グラフで見る通り、また後述もしますが問題ありません。
 
 表示された曲線をカーソールでなぞってみてください。
 周波数による通過ロスの詳細が分かるというスグレモノです。

共用は離隔に注意

バターワースではなくチェビシェフにしたもう一つの理由は
は10/14Mの共用としたからです。
バターワースはリプルがない代わりに切れは悪いのです。
例えばカットオフを15MHzにすると、14Mで1dB近い
通過ロスがあり、かと言って16M以上にするとロスは減るものの
10Mの2倍高調波が-12dBとかになってしまいます。。。
例にしたチェビシェフだと、14M でにおける通過ロスもなく
20Mでは-40dBですからチェビシェフに軍配が上がります。
30M以上ですでにグラフから消えちゃいましたね。w
もちろん共用14との共用ではなく10MHzのみのLPFであれば
カットオフを2倍以下の範囲で離したバターワースでも十分です。

実際に作るときは
・Lの形式と配置
・Cの形式
・シールド
・測定と調整
などボリュームがあるので、詳細は次の機会にしますが
Lはよほどのハイパワーでなければインダクタンスを
読めるT-200ナニガシあたりのトロイダルコアを活用すれば、
段間シールドも気を使わなくてすむというおまけ付き。。w
インピーが低いところなのでCは耐電圧より電流容量が
必要なので、固定Cなら小さいやつのパラが旨い手です。
シールドが必要な場合は見栄えを気にしなきゃ拙生は
両面基板を半田付けでやっちゃいます。
工夫によっては基板上で分布定数によるCも作ることができ、
分布と集中定数の組み合わせで調整ができたりします。
測定はトラジェネ付きスペアナなどが最高ですが、
SGと広帯域受信機などで減衰量、入出力インピーは
ダミーとアンテナアナライザの組み合わせなどが
考えられます。
あ、空芯Lなら計算でも作れますがLCメータあれば便利ですね。

拙生のLPF自作例は5例で最初の2つは気に入らず
納得できた3例のうち実用したのは1個だけですが
LPFの製作は結構楽しいものですよ。

ところでチェビシェフ・・
そう、数学に出てきたあのチェビシェフです。
多項式やら加法定理・・・ああ、段々思い出してきて
頭が痛くなってきた。。。^^;;;

Group Delay Characteristic

これは書かないでおこうかと思いましたけど、書かないと
ツッコミが入りそうなので。。。
チェビシェフはバターワースより群遅延特性で劣ります。
群遅延特性とは帯域内での最大伝搬時間差です。
使用電波形式によりますが、周波数に幅を持っている場合
その周波数により通過速度が異なるという症状が発生します。
そのために入出力波形が相似形でなくなることを群遅延歪と言います。
CWなど単一キャリアや狭帯域の変調形式には関係ありませんが、
スペクトラムが広いデジタル通信などではビットエラーの
原因になる可能性があります。
ま、拙生のようにCWとSSBにしか出なければ無縁の話です。。。
フィルターのインピーがずれた場合群遅延特性の悪化に
直結するので注意が必要です。
送信用は不可能ですが、受信用に使うなら入出力に
(一般的には)3dB程度、できれば可能な限りのATTを挿入し
見かけ上のマッチングを良くすることで回避できます。

ちなみにバターワースとチェビシェフを比較する記事などで
ロールオフって言葉が多用されますが、これはフィルターの
キレのことで、大概の場合オクターブナンデシです。
つまり周波数が倍でナンデシ減衰するのかという表現です。

作ってみせろと言われそうですが、手持ちの2mmの
錫メッキ線と、1000Vのディップドマイカで間に合う
耐電力のものなら、半日もあれば製作可能でしょう。
両面基板や銅板も売るほどあるしレセクタプルもあるし。。。
測定と調整で半日としても1日で完成しそうです。
で、2mmの錫メッキ線と1000Vのディップドマイカで
なんぼまで保つの?・・・って結構保つんですね。コレガ
ちなみに昨日の14M用は6mmの銅パイプにディスクCで
大きさはFT101並でした。ww

*フラーホイール効果による波形整形などの別の効能に
 ついては触れていません。

またまたなんか届いてました。(笑

RF・IFTetc


上のRFコイル4本はステアタイトボビンのコイルの
上部にミゼットVCが付いていて、上からADJできる
というすぐれものです。(下の写真)
複巻IFTのほかに2本は単巻でQマルチやBFOに使えます。
貫通Cが2個付いたコイルはナニ?
きっと高い周波数のプレートチョークコイルかと思います。

HOME

おすすめ