LPF薀蓄@ビギナー向け

最近集まってきたLPFの投稿を見た何人かの方と
お話する機会がありました。
その中の一人であるビギナーの方はLPFの原理は
知っているものの、挿入すれば高調波がカットされる
という認識しかありませんでしたので、
以前も似たようなこと書いているので繰り返しに
なりますがお話した内容をちょっと書いておきます。

Low Pass Filter

読んで字のごとく低い方を通過させるフィルターです。
設計した周波数より下の周波数を通過させるものです。

ロスがほとんどなく通過する周波数帯域を
Pass Band(通過帯域) と言います。

これより高い周波数では減衰が起こり、-数10dBとか
高級なものは-100dB以下まで減衰されます。
この帯域を
Stop Band(減衰帯域または阻止帯域)
と呼びます。

しかしこの両帯域はある周波数を境に直線的に減衰
するのではなく、多少なだらかに減衰を始めます。
この帯域を
Transition Band(遷移帯域)
といいます。
  遷移は【せんい】と読みます。@老婆心

この遷移帯域内で特に電力比で入力の-3dB、つまり半分の
電力まで減衰する周波数を
Cutoff frequency(遮断周波数)
とか
Corner frequency(コーナー周波数)と言います。
拙生はLPFに限定した話の中では、単にカットオフで済ませます。

これが拙生の考える一般的な定義ですが、定義の仕方は他にもあり、
カットオフを堺に通過帯域と減衰帯域、つまり遷移帯域を使わない
流儀や、カットオフを-3dB以外に定めた流儀もありますので
面食らうことのないように。(笑

アマチュア無線メーカ製が出している殆どのLPFは、カットオフが
30MHz台(HF用)か50MHz台(HF+6m用)ではないでしょうか。
LPFの主な役割は、高調波を減衰させることです。
HF用と称するカットオフが30MHz台で2倍の高調波を阻止できるのは
その半分の15MHz台までであり、14MHzではパスしてしまいます。
50MHz台のLPFでは28と50MHzの2倍高調波しか阻止できません。
いくらインターネットや衛星通信が発達しても、HFでは未だに
国際放送・航空機用・船舶用・自衛隊など、重要な通信が
行われていますのでそれに妨害を与えることは許されません。
しかし昔は3.5・7・14・21・28MHzのようにアマチュアに
割り当てられた周波数帯は倍数関係にあるので、高調波にあたる
周波数をワッチしているローカルに迷惑がかかるだけ
という考えがあり、アマチュア内で終結ということで
許容されていましたが、倍数関係でない周波数帯も免許
され始めたのに、相変わらずカットオフが異なるLPFが
増えることはないようです。

アマチュア内の高調波を許容する考えを踏襲したとして
現状で市販のLPFを使ったときのことを考えてみます。

1.81〜1.825の2倍は3.62〜3.65で惜しいけど外れています。   
1.9075〜1.9125は3.815〜3.825でこれも惜しいけどNG
3.5〜3.575及び3.599〜3.6までは2倍は許容範囲だが
     3.6〜3.805はNG。また3倍はすべてNG。。。
7〜7.2 2倍は7.175まで、3倍は7.15までOK。
10.1〜10.15 NG。
14〜14.35 2倍はOKだが3倍はNG
18.068〜18.168 30MHz台のLPFならすべてOK 
         50MHz台のLPFならNG
21〜21.450    同上
24.89〜24.99   同上
28〜29.7 どちらのLPFでもOK
50〜54  54MHz以上100MHz以下のLPFならOK

つまりアマチュア内の高調波だから許容と言っても
全くNGとか2倍や4倍はOKでも3倍がNGなど、LPFを1個で
済まそうとするコジツケにしか過ぎなかったことがわかります。

で、有効なLPFとは。。。結論を書きます。

1.8/1.9 はカットオフが2MHz台の単独
3.5〜3.8 も4MHzの単独
カットオフが11とか12MHz台なら7/10は共用可
カットオフ15MHz台とかなら10/14は共用可
カットオフが19MHzとか20MHz台なら10/14/18は共用可
カットオフが22とか23MHz台なら14/18/21は共用可
カットオフが32とか33MHz台なら18/21/24/28は共用可
カットオフが55MHz台なら28/50が共用可
 *6mで低い方しか出なければ52MHz程度で良い。

こんな感じでしょうか。
つまり市販されている多くのLPFの高調波阻止能力は
18MHz帯以上にしか力を発揮できないのですね。
それより下のバンドに効かすには、カットオフの異なる
LPFが最低もう3個必要なのです。

現在のリグは昔のと違い、イレギュラーなことをしなければ
高調波波特性は極めて良好なので、問題になるシーンは
よほどのローカルとなりますが、ここではLPFの効能
ということに専念しました。(笑

現在ではローカルが7に出て2倍や3倍の高調波で14や21の
受信に支障が出るが、アマチュア同士だから許さなきゃ、
なんて思う人は希少ですよね。w

注意すべきなのはアンテナが14/21/28など倍数関係にある
ワンフィードトライバンダーをご使用の方。
14の2倍高調波である28は、例えば1Kwの-60dBなら1mWでは
ありますが、14のモノバンダーならまったくインピーが
合っていないので乗らないのですが、トライバンダーでは
マッチングもバッチリで、しかも高利得だったりすれば、
思わぬ遠方まで飛んでしまうこともあるのですよ。
このトライバンダーでLPFを効かせたいなら、最低2つの
LPFを交換しながら、または切り替えなきゃいけませんよね。
拙生の昔のシャックに遊びに来た方が、14/21/28の
ワンフィードクワッドなのに、14に出るときにSWを2個
切り替えたことにビックリされていたことを思い出します。
更に14用の自作LPFの大きさと不格好さにも。(笑
もちろんローカルの10mマンへの配慮でした。

なんか届いていたので写真のっけときます。

7F25Bx2とソケット

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