友人からの電話シリーズ

サブタイトル:こんなんでイイんかい?

最初に読んでください

 本日の内容は高圧を扱う話で、一歩間違えると
 命の危険が伴います。
 技術的な内容は個人的な知識や考え、また実験で
 得た結果に基づくものであるため、コレを見て
 試されようとする方は、ご自身でも吟味熟考の上
 あくまで自己責任でお願いいたします。

久方ぶりに海外出張から帰ってきた友人から
電話がありましたが、早速質問攻めです。
その中で一番時間を掛けて説明したものを取り上げます。

質問:

整流ダイオードにCもRもパラってなくて大丈夫?

では、当然とも思える疑問にお答えします。(笑

回答:

結論だけ言うと・・・
イイんです、こんなんで。w
10A06(1KV6A)や10A10(1KV10A)なら
拙生の環境では大丈夫でした。

Rはシリーズ時に各ダイオードに掛かる電圧を
均一化するものですがなぜ必要ないか。
ダイオードのみでシリーズにすると各ダイオードに
掛かる(逆)電圧が一定にならない原因は、リバース
カレントの差異によります。
逆電圧に対しダイオードの抵抗が無限大なら問題は
ありませんが、実際には僅かな逆方向電流(リーク電流)
が流れています。
個体差によりリーク電流に差異があれば抵抗値が異なる
ということなので、掛かる電圧は一緒ではなくなります。
例えば1KVダイオードの最大リーク電流は最大10μA程度が
多いのですが、個体差で10μAと7μAだったとします。
リーク電流は最大ブロック電圧(1KV)時の値ですから
10μA→ 1000/(10×10^6)=100MΩ
7μA → 1000/(7×10^6)= 143MΩ
となり、仮にこの2個シリーズにピーク1800Vの電圧を掛けたら
10μAのほうは741Vとなりますが、7μAの方には1059V
掛かってしまうことになります。
 *リーク電流は温度に対して正特性・・・等など
  細かな要因を省いたあくまで簡易的な計算です。

ダイオードはブロック電圧を超えた逆電圧にはもろく
音もなく逝かれてしまうかもしれません。
つまりダイオードを直列接続しても逆耐電圧は個数分だけ
倍増してくれるという単純なものではないということです。
 *もちろん2シリーズで2000V耐圧なのに1800V掛けること
  自体無謀な話ですがあくまで仮の話です。

そこで数百KΩなどという抵抗をパラにして、リーク電流より
大きな電流を抵抗に流し、リーク電流の差異を緩和しなくては
いけないと、確かに昔の教科書には書いてありました。
電解Cのシリーズの時と考え方は一緒ですね。

しかし・・現在の整流ダイオードは昔と違ってリーク電流の
特性はかなり揃っているようで、安全率をピーク電圧の√2倍
見込むだけで許容値内に収まってくれることが何度かの実験で
分かりました。
こんなやり方で試す方はいないでしょうけど、
最初はトランスからブリッジ回路にAC2500Vを供給し、
16μFで平滑した電圧を60KΩのブリーダ抵抗に消費させながら、
1列12個の整流ダイオードを1個ずつ減らすように
ジャンパーしてゆき壊れるまでやってみた結果、
4シリーズでは壊れず3シリーズでは再現性を持って
壊れてくれました。
1次・2次おタップを変更してAC2150Vにすると、DC出力は
3000Vをやや下回りましたが、このギリギリの電圧では
壊れなかったことから結論づけています。
均等に分圧されていなければいずれかに定格以上の
電圧が掛かったはずですから。
ちなみにAC2365Vのタップ位置の変更では壊れました。
ダイオード単体からみれば、壊れるまで電圧を
掛けて、複数回確かめてみたということです。ww
     @良い子は決してまねしないように。!

それでも不安な方は安全率を印加されるピーク電圧の
2倍も見ておけばいいでしょう。
AC2150VからDC3000Vを作り出したいとき
ブリッジ整流 10A10なら2倍の6000Vで6シリーズ
CT式の全波整流 4倍の12000Vで12シリーズ
ということです。
ちなみにGU-5B用はトランスの最大電圧で5600VDCまで
の出力なのでそれ以上は確かめられていませんが、
10A10を12シリーズx4のブリッジ整流でなんの問題も
発生していません。

次にCです。
交流の位相が逆転するとき、言い換えればダイオードが
オン・オフするときに発生する転流ノイズを軽減させる
ものです。
例えば50Hz交流をブリッジ整流したなら、100Hzとその
高調波が発生するのですが、転流ノイズは定格最大に
近いような電流を扱ったときに景気良く発生し、
10A10(最大10A)に2Aしか流さないような使い方では
ほとんど気にならないのです。
6A級で1.5A程度(4CX1500Bx2がそう)でも問題なしでした。

整流ダイオードが属するディスクリート半導体は製造工程に
おける微細加工の充実により高効率化されているだけでなく
特性も均一化されバラツキがなくなってるということですね。

ところでパラに入れる抵抗をノイズ防止としている記述も
散見できますが、スパイクノイズの吸収ならCRを
シリーズとしたスナバ回路をダイオードにパラう・・・
のではないのでしょうか。
スイッチングの際の寄生インダクタや容量により発生した
エネルギーをCに蓄積しR流し熱に変換する。。。
ですよね?
ちなみにスナバ回路は効き目と効率がトレードオフと
なるので採用するときは要注意です。
拙生流では必要があるとき以外、使わないですむなら
使わない。ww
ということで無対策となっています。

ま、友人のようなオーディオ屋さんはノイズが気になって
しょうがないのは仕方がありませんね。
拙生の場合はオーディオアンプでの整流ではないので。。。

本日ラボには顔を出せませんでした。

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