ツートーン発振器

SSB送信機(トランシーバの送信部含む)や
リニアアンプのリニアリティは2信号(ツートーン)で
評価する必要があります。
シングルトーンでいくらリニアリティが良くても、
アンプにはGB(ゲイン・バンドワイズ)積が一定という
縛りがあるため、帯域が広いとシングルトーンより
利得が下がり頭打ちも早く現れます。
ですからSSBのように帯域を持つモードに使うアンプの
リニアリティの正しい測定は、ツートーンによる
平衡変調で行うことが必須となります。
 *口笛による平衡変調はシングルトーン

拙生は幸運にもお仕事で使っていた低周波発振器の
いくつかをお下がりとしてアマチュアように持っており、
それを2つ使って合成すれば簡単に質の良いツートーンが
得られます。
実際には被測定機器である送信機とのインターフェース
として簡単なアンプを入れてあります。
レベルやインピー合わせの他にコンデンサマイク使用の
送信機の場合マイク端子に電圧が出ているためコレを
カットしてやらなくてはなりません。
お仕事用のお下がりでアマチュア用として確保してある
オシレターは600Ωの平衡出力であり極性なしの
トランス式なので直流的にはショート状態なのです。

1段バッファを噛ませたとしても、出力レベルの調整のVRが
マイク端子と直接接続されるような場合は、VRの電圧が
掛からないようカプリングCでDCをカットすることを
忘れてはなりません。
回路図を含めてこのあたりのサイトが参考になるでしょう。
多少の違いがあるにせよ殆どがこんな感じです。
(回路図作成が面倒なだけ。。。?^^;;@勝手にLINK)

  → こちら ←

ツートーンジェネレータは作れる

上記の回路を見ればお分かりのようにツートーン発振器の
回路自体は簡単なのでオシロをお持ちの方(借用できる方)は
自作可能です。
拙生も2SC372で昔むか〜しに作ったお世辞にも見かけが
良いとは言えない移相(位相ではない)発振を採用した
ツートーンジェネがありますが未だに安定動作します。(笑

移相発振の理屈は、出力から帰還された信号の位相を
180度ひっくり返えして入力にフィードバックさせるものですが、
LPF(またはHPF)を3段以上にして発振条件(180度ひっくり返って
更にループゲインが1以上)を満たすことで発振回路を形成します。
理屈は色々ありますが作ると実に簡単にできちゃいます。
ただし作りっぱなしではだめで、オシロで波形観測しながら
歪まぬ程度のバイアスの調整が必須です。
出力を欲張りすぎるとサインウェーブでなくなっちゃいますよ。

蛇足@ループゲインが1以上という意味
  
目的周波数において位相を180度ひっくり返えしたたときの
移相回路におけるロスより反転増幅のゲインが大きいと
いう意味で、回路図通りにに作れば気にしなくてOKです。

主流はツインT

現在の主流はLPFとHPFを組合わせたツインTになっていますが、
発振出力を欲張らなければどちらも綺麗な波形を出力します。
両者とも回路は簡単でブレッドボード・ユニバーサル基板や
空中配線でも可能でしょう。
高周波を扱うわけではないのでお気楽に作れます。
ただし被測定無線機と2トーン出力との接続は環境に応じた
工夫が必要となります。
2トーン入力はマイクコネクタかACCにするか等々。。
プレス回路も引きずり込んでおけば操作が簡便化します。

更に・・・

スペアナをお持ち(借用できる)ならアンプの出力の一部を
ピックアップして高調波やIMD特性も測定することができます。
厳密な測定値を求める場合はかなりのスキルと正確なカプラー
などそれなりの機材が必要となりますけど。
エキサイターのみとリニアアンプON時のIMD特性の劣化を
比較したいなどという相対値で比較するときは、かなり適当な
ソフトスペアナと受信機などの組み合わせでもできますが、
絶対値は無理で概略しか分からないことがほとんどなので、
その測定値をもって喜んだりがっかりするのは無意味です。

リニアアンプを測定する前に

リニアアンプのIMD特性はエキサイタの特性より良くなることは
ありえませんので、まずはエキサイタの特性を測定します。
さもなくばせっかくIMD特性の良いデバイスを採用したのに
サードで-30dBしか取れないなどと嘆いていたら、実はエキサイタ
自体が-30dB程度だったなんてこともありえますよね。w
-40dB以上期待できるアンプなら、エキサイタはそれより上回る
IMD特性を持ったものを使用しなくてはなりません。
AB1級ではなくA級で動作するエキサイタが理想ですが、
IMD特性のためにエキサイタを買い換えるのは難しいですよね。

正論とは言い難いけど

増幅器のIMD特性の劣化を軽減させるためには、ALCを
振らせないで使用するのが正解です。
ただしアマチュアの無線機はALCを既定値内まで振らして
アベレージのパワーを絞り出しているのが実情で
技術的に疎いユーザーは取説を見て規定値まではALCは
振らしてよいもの、または振らさなくてはいけないもの
と思い込んでしまいます。
そうしないと100W機なのに見た目は20Wとかしか
出ていないわけですから当然のことです。
実際ALCを振らすほうが電波は飛びますし。。。
IMD特性劣化の弊害なんぞはこれっぽっちも頭にない
のは仕方がありませんよね。
この現状がまかり通っている以上、HiFiでのSSB送信を
やっている方やローカルからの苦情が出ている方以外、
IMDなんぞはあまり気にしなくても良いのかもしれません。
黄色信号みんなで渡れば・・・www

やはり気になる方は・・・

ALCを振らさない。
アベレージパワーが目減りした分はIMD特性の
優れたリニアアンプでカバー。
すべてを軽く使うことでしょう。
それができない場合はあっさりSSBを諦めてCWに移行
することを考えましょう。(笑
ただしオーバーシュートでキークリックを発生するような
出来の悪い無線機を使用すると、今度はコレが気になって
しょうがないかも。ww
 *最近の無線機ではデジタル処理等でIMD特性を
  改善させているものもあり、ALCを振らせても
  あまり劣化しないものもあります。

ちなみに・・・

ALCが起因するIMD劣化はエキサイタの問題で、後段に
つながるリニアアンプとはまったく無関係ですので、
リニアアンプのみの評価の際に勘違いしてはいけません。
IMD特性の優れたエキサイタがない限りリニアアンプの
評価はできないのです。

相変わらずとっ散らかる

物置で見つけた今は使っていない自作のツートーン
発振器から随分とっ散らかってしまいました。^^;;

明日は急な仕事が入り日帰りで道北に行ってきます。
GU-5B製作再開は明後日以降からになりそうです。

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