フルハーネス

今年2月から法改正で高所作業時に使う安全帯は、
フルハーネスを使用しなくてはいけないと
安衛法に示されました。
今まで使っていた胴ベルトタイプは一定の条件下
でしか使えなくなりました。

フルハーネス・・・
肩・胸・腰・太もも(または付け根)をベルトで
ぐるぐる巻にされ、落下防止用のランヤードという
綱の先にフックが付いたやつが背中に付いています。
今までの胴ベルトだと落下した際体がくの字になって
ぶら下がり、内蔵などを圧迫し死に至る確率が大きく、
ラフに巻いていると重心によっては体が逆さまになり
抜け落ちる可能性もあったわけです。
フルハーネスは肩甲骨あたりの中心にランヤードが
取り付けられるため、落下しても必ず頭が上になり
体も垂直にぶら下がり、胴ベルトよりずっと安全。。。
と言うのが法改正の主旨であります。
フルハーネス使用と、特別講習を受けることが義務化
されました。

タワー作業の場合

実はタワーにぶら下がって作業するための胴綱は
あくまで両手で作業する体勢を作るためのものであって
落下防止用ではありません。
ランヤードの綱より何倍も丈夫であってもです。
逆にランヤードはあくまで転落した際の落下防止が目的で
作業の体勢を作るために体を預けてはいけません。
つまり・・・拙生のようにタワー上で作業することもある
人間は、フルハーネスの他に今までどおりの胴ベルトと
胴綱が必要なわけで、そぉでなくともインパクトレンチや
各種ラチェットレンチ他の工具類で、十分腰に来る
くらいの重量に、更にフルハーネス・ランヤード分が
加算されてくれることになります。。。
更にランヤードの2丁掛けの義務化なんてのもチラホラ
聞こえてきたりして、そうなるともういじめに近いですね。

 2丁掛けとは移動する時にランヤードのフックを掛け替え
 しますが、一瞬でも無胴綱にならないように1丁を外しても
 もう1丁が掛かっているように2丁を交互に掛けることです。
 つまりランヤードだけで2丁必要と言うことです。

安全って落下しないことはもちろん一番大事ですが、
それだけではないはずで、世の中には腰を痛めて
休むことが生活上の命取りになる人も少なくないはずです。
また講習を受けるのにお金と時間を割かなくてはならず、
フルハーネスはピンキリですが、拙生の作業条件を満すものは
決して安くありません。
それらに10万円掛かったとして、拙生のような一人親方なら
それしか掛からないのでなんとかなるでしょうが、友人の
会社ではアルバイト用も含めると、作業員50人に対応
するためには500万円かかるのに、フルハーネスへ変更すること
自体が金を生むことは決してないのです。
しかも特別講習を受けたものしか高所作業ができないなら
アルバイトの人が変わる度に受講させなきゃいけないので
大変だと聞いています。
一時投資は永久ではなく、ランヤードやベルトなどは
定期的に点検し、交換しなくてはいけないのです。
ちなみに高所というとビルの屋上やタワーの上を
思い浮かべますが、なんと2m以上の高さは高所であり、
会社によっては独自規定で1mとしているところもあります。
つまり必要のない現場は稀であると言えるでしょう。

ちょっと話がずれますが、2年ほど前から足場の特別講習も
義務化されました。
足場屋さんでないから関係ない・・・って?
実は作業性を良くするために脚立を2本立てて、その間に
足場用のプレートを置き、横の移動が容易にできるように
することは多々ありますが、法改正でコレも足場になるそうで
足場特別講習を受講したものしかできなくなりました。

フルハーネスや足場の特別講習を受講すれば絶対安全?
受講しなきゃ5月からの仕事に差し障りがあるので仕方なく
本日講習会に行ってきた拙生ですが、今までの決まり事でも
全部守っていれば落下事故なんてほぼないはずで、色々
義務化したって、事業主や職長・作業員の安全意識が
低ければなんの効果もない気がします。

だんだん面倒が増え、法でがんじがらめになってくると、
建設・電力・通信業界から高所作業を行う小企業や
作業員が離れてゆくのではと危惧せざるを得ません。

*意味がわかればイイや的に墜落制止用器具などといった
 正規な法律用語で書いていません。

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