実は難しい広帯域ピックアップ

昨日のポストで高調波などは補正値を
出しておけばf特は気にすることはないと
書きましたが、全てがそうではないので
ちょっと追記しておきます。

例えば1.8Mから50MHzまでの絶対値を求める
電力計を作るのならフラットなf特が必要です。
よく使う手はピックアップに小容量のCも
参加させることでf特の改善を行うのです。
固定Lは周波数が下がるとインピーも下がるが
固定Cは逆特性になるという訳です。

しかし本当に小容量でないと高い周波数では
インピーダンスが下がってしまい、特性を
悪化させてしまいます。
50Ωに対しぶら下げても影響が少ない、つまり
十分高いインピーダンスでなければ測定器自体で
反射が立ってしまうからです。
しかし小容量は今度は低い周波数で
ダメだったりします。
インピーダンスが高すぎてピックアップ量が
減ってしまいその兼ね合いが難しい。。。
また反射波に対するf特が大事で、有りがちなのは
基本波に対してははVSWRが1.0だけど高調波が1.5。
これではよろしくありません。

またCMカプラの場合は方向性にバランスが悪いと
進行波と反射波の合算されたものを見てしまう
可能性大です。
実は広帯域のピックアップは困難を極めます。

また通常パワー計では通過させる電力のほうは
トロイダルコアに通すだけの１Tですが
ピックアップ側は測定する周波数帯とコアの
材質などにより巻き数を考えなくてはなりません。
昨日ポストしたピックアップについてもうちょっと
詳しく書くと、コアはFT-140#61を想定していて、
20Tは実は微妙な巻き数かもしれません。

大電力を扱うためコアは大きくなくてはならず
FT-140なんてコアを考えましたが、大きいがゆえに
20Tも巻くと線長が1mを超えてしまいます。
浮遊容量も増加しこれって高い周波数には
結構厳しいんですよね。
やってみれば分かりますがこの長さでは
28MHzでも結構な誤差が生じます。
コアを小さくすれば線長は短くなりますが
磁気飽和とかが心配ですし、巻き数を減らせば
低い周波数で厳しくなる。
ではAL値が5〜6倍ある#43で巻き数を減らしたら
今度は特性悪化の原因になりうる。。。
#43あたりのAL値は個体差も大きく再現性も
期待できないといった塩梅です。

トロイダルコアを2個使ったタンデムマッチは
方結としてのバランスやf特も良いのですが、
リターンロスの特性があまり良いとは言えず
痛し痒しなんですねぇ。。。ｺﾚｶﾞ。。。

今までは各ポートが50Ω純抵抗で終端されている
場合の話ですが、これにリアクタンス成分が加わると
更に話しがややこやしくなる訳です。

こう考えると送信機の出力にに付ける通過電力を
高抵抗で受けて必要な電圧を抵抗比で分割して
取り出して抵抗のf特にお任せしちゃう。。
（抵抗のf補正は周知のテク。）
こんなやり方でも良いのではないか。。。
しかしこれはペケです。
合成抵抗は50Ωに対し十分大きな値が必要で
例えば100KΩだとリターンロスは70dBにもなります。
では3KWだとピークで550V弱なので10V引っ張りだす
抵抗の分割比は。。。。ではダメです。
測定器の50Ωで終端されることを忘れています。
単純に繋ぐと540:10≒x:50になってしまうので
xは2.7Kに限定されてしまいます。
それでもリターンロスは40dBほどありますが、抵抗には
110W程度の電力消費があり現実的ではありません。

測定器を作るのが最大の楽しみならばメーカ製
のように基板のパターンをストリップラインとして
いろいろ試してみたりするのでしょうが、実用に
なるものをチャチャっと作りたければFT-114#61
使用での20Tで、ぶら下げるCも周波数が低いバンドと
高いバンドで切り替える。。。なんてのが妥協案となりそうです。

VSWRを見るとか補正値を求めておけば良い高調波の
測定など、相対値で求めるものはこの限りでは
ありませんのでハイパワー仕様にするためにFT240でも
大丈夫だと思います。。。
って、やったことありません。（笑笑
多分HFローバンドかミッドバンド止まりでしょう。