振幅変調

某雑誌にAMの普及で執筆されているK氏の
記事を見て、AMで電波を出そうとして
あがいている友人からのヘルプ信号です。
ここ一周間千歳通いだったので本日丁度
拙宅と中間にある友人宅におじゃましてみました。

作ったもので簡単にAMを出してみよう
というコンセプトの送信機の構成は、2ndリグである
メーカ製トランシーバのAMモードでパワーを最小に
近くなるまで絞って、実際にはリグで変調を掛けずに
キャリアだけをもらい6146B1本で作った3.5MHz帯
オンリーの約10Wのファイナルにハイシング変調を
掛けたものです。
なんかそんな記事読んだ記憶があるぞ。(笑
受信はそのままできるし周波数の安定度なども
まったく気にしないで良いという素敵な
方法ですよね。

で、変調アンプはA月の格安キットの
マイクアンプとオーディオ出力アンプの
組み合わせで、ハイシング変調ですから
8Ω:数KΩのトランスが必要ですが
オークションで落とした真空管オーディオ
出力の10KΩ:8Ω(15W)を逆さまにして
使っていました。
ウンウン、某誌でこれも見たことがある。

見ただけでは旨く行きそうな構成なのですが
終端型パワー計(ダミー内蔵)を使って
パワーを出し、メインのリグで聴いてみると
キャリアの存在は確認できますが、変調が
掛かっておらず若干のハム音が聴こえるだけです。

仕方がないので車に積んであるシンクロを下ろし
波形観測をしてみたのですが、山谷がまったく
出ておらずキャリア成分のみ、つまり
変調度がゼロということですね。

またまた仕方ないのでオーディオシンセも
下ろしてきて、オーディオアンプ出力にに
その辺にあった抵抗を組み合わせたダミーをつなぎ、
シンセから信号を入力してダミー両端で測定してみると
ちゃんと出力されています。。。よ??

じゃあマイクアンプしかないじゃありませんか。
で、マイクに向かって喋りながらマイクアンプの
アウトを見てみると思った通りNGであります。
LED付き大型ルーペを使用するまでもなく、
基板を肉眼で観察してすぐに分かりました。
付いている抵抗が何かヘンですってば!

なんと初段のトランジスタのエミッタに入っている
電流帰還用抵抗が1MΩ・・・駄目じゃん。
これじゃぁ電流が流れませんぜ旦那さん。(笑
通常は数100Ωとかせいぜい数KΩでしょう。
1MΩを使う所はベース抵抗ですよね?きっと。
固定バイアスでIcを数mA流すためのIbは
このクラスの石なら数μAとかせいぜい10数μA程度?

 ベース抵抗=(hFE*(Vcc-Vbe))/Ic

 上記が求める式ですがIbがどこにも
 入っていないじゃない。。。って?   
 ちゃんと入っているっんですね、これが。
 IbはIcとhFEで決定されます。

  Ib=Ic/hFE    なのですよ。

 Icは電源電圧と負荷との兼ね合いで設計初期
 段階から決め打ちしますからね。
 その後にIbを考えるということです。

それはさておきベース抵抗を見ると1KΩ。
エミッタ抵抗とベース抵抗を取り違えた
というミスだったんですね。

早速直してマイクからの入力でアンプが
出力することを確認し変調を掛けてみると
変調度は0.3(変調率30%)弱程度です。
しからばとオーディオアンプの出力を
上げてみても変調度は変わらず、ピークが
クリップするだけです。
マイクアンプからではなくオーディオシンセ
でも一緒でありました。

ハイシング変調だからこんなもんか?と
友人はガッカリしていますが、拙生は
オークションで落としたという出力トランスが
怪しいと思うと伝えておきました。

ところで波形観測をしていた時変調度は
dBなら直読できますが友人にも分かるように
振幅の山(A)と谷(B)から

m=(A-B)/(A+B)

で手計算してみたところ、
お、AMって簡単な式でわかりやすいねぇ
ですって。。。

そぉ?こんなのもあるでよぉ。

Vam = Vcsinωct
+ (mVc/2) x sin(ωc+ωs)t
+ (mVc/2) x sin(ωc-ωs)t

搬送波と両側波帯の上下の合算ね。
あ、こんなのもあるよ。

φam(t) = a(1+ks0s1(t)) x cos(ωct+θc)

で、数学が苦手な友人は黙ってしまいました。
口は災いのもとですよね。ww
しかし学生の頃試験に出るので賢明に覚えた
公式って忘れないものです。

もっと大型のトランスに取り替えてみて改善したなら
その時にもう一度測定してみることを約束して
お暇しました。

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3件のフィードバック

  1. 田中顕一 より:

    「振幅変調」、懐かしいですね!
    16歳で始めた”807”+”6BQ5pp”のAM送信機は自作でした。
    現在70歳の古稀、「振幅変調の復活?」も、真空管は1本もなし。
    全く暇な「中期高齢者」、変調器無し?のAM送信機を自作してみました。
    YoutubeにUpしています、よろしければご覧ください。(JA5AZI 高知)
    https://www.youtube.com/watch?v=AQQjF9QGUmU

  2. Qsaku より:

    拙作サイトへのご来訪を感謝いたします。

    もう何十年もアマチュアでAMの機械を製作することも
    無くなってしまいましたのである意味貴重な体験でした。
    開局時は6mの水晶2波でファイナルが12BY7、変調が
    受信器のAF段を切り替えて前段にマイクアンプを
    おいた6AR5のハイシング変調という構成でした。
    最後は2B46に25BQ6-GTppのSG同時変調
    だったように記憶していますが、なにせ古い話なので
    記憶が定かではありません。。。
    最近では真空管はリニアアンプしかいじっていませんが
    入力と変調トランスさえあれば材料はなんとか揃いそうです。
    まだLUXあたりで出しているのかな?
    なければ簡易的な直列変調になってしまいそうですね。

    この後YouTubeを拝見させていただきます。

  3. Qsaku より:

    はっはっは。。って、もう笑うしかありません。

    拙生にとってAM=古い技術≒懐古趣味的な
    イメージで、もし作るにしても昔の技術を
    思い出しだし、なんて思っていたのですが。。。
    なんとデジタルを含む技術のオンパレード
    じゃないですか。
    航空無線メンテで現在AMに唯一携わっている
    無線機を見ているようであります。
    またDPAoutの8合成のやり方は試したことが
    ないので、機会があったらやってみたいと
    思います。
    大変参考になりました。
    勿論高評化をポチさせていただきました。

    ところで音源に使っている曲が素敵です♪