考え方@3dBパッド

友人が部品箱を探りはじめました。

拙生:ナニ欲しいの?
友人:300Ωと18Ωの抵抗持っている?
拙生:3dBパッドかい?
友人:よく分かるなぁ。。
拙生:だって定番でしょ。何に使うの?
友人:発振とミキサー間のアレ。
   330Ωならあるんだけどさ。
拙生:(計算しながら)じゃあ18Ωの代わりに15か16Ωは持ってる?
友人:きっとないなぁ。
拙生:47Ωは?
友人:それならある。。。と思う。
拙生:じゃぁ47Ω3パラとと330でやって。
友人:そんな適当でイイんかい?
拙生:イイの!

厳密な計算

π型ATTでの3dBパッドの定数が300-18-300 
というのをよく見かけますが、これが-3dBとなる
ためには入出力インピーが厳密には51.3Ωでなければ
いけません。
300Ωを使ってI/O共に50Ωとするにはセンターの抵抗が
17.14Ωとしなければならず、その時の減衰量は
-2.92dBとなります。
また300-18-300の組み合わせそのままで入出力に50Ωを
繋ぎ込むと、VSWRは1.0119であり減衰は-3.04578dBと
なります。
I/O共50Ωでジャスト-3dBとするための組み合わせは
292.4-17.6-292.4Ωでなくてはいけません。
厳密にはまだ-2.9979dB VSWR=1.000205306ですけど。ww

厳密でなくてもOK

使用目的が安定動作のためのATTで、測定用に使うためで
ないのならそんなに神経質にならなくても大丈夫であります。
使う抵抗によっては誤差1%とか無神経に選べば5%なんてのも
あるので、表記がピッタリの値を選んでも実はナン%も
違っている場合も多いんです。
では使えないの?ってローカルOSCとミキサー間の安定化のために
入れるATTなどはきっちり-3dBである必要はないのです。
ましてや50Ωが51.3Ωだからって騒ぎ立てる問題でもないし
-3dBが-2.5dBや-3.2dBであっても十分に役割を果たします。

ありあわせでも大丈夫

そんな目でありあわせの抵抗で入出力が50Ωに近い
組み合わせを考えてみましょう。
HFあたりではパラやシリーズにする分のリード線が
多少長くなっても大丈夫です。
(抵抗を互い違いにパラるのは崇高な儀式です!w)

500 10 500   -1.727dB(VSWR≒1.0)
470 11 470   -1.892dB(VSWR=1.004)
330 *15.5 330  -2.65dB(VSWR≒1.0)
友人に勧めた値は47の3パラで15.67Ωでしたね。
また500と10Ωしかなくて、どぉしても-3dBより大きな
減衰が必要なら、2段シリーズで-3.45dBとする手もあります。

上記はπ型ですがT型だと(以下VSWR省略)

10 120 10 -3.52dB
5 250 5   -1.745dB

拙生がその時の在庫の関係でたまに使うのは
100Ω、または25や50Ωのいずれか1種をシリーズや
パラに組み合わせて作れるブリッジ型です。
100Ωと50Ωの在庫を切らすことはまずないからです。
勿論複数の在庫がある場合はそれぞれの値を使います。

  —25—
 |    |
 50 100 50   -3.5dB
  
50-100-50のT型の入出力端子を25Ωでパラった
ブリッジの計算ですが、実は50-25-50のパイ型を
コモンから100Ωで浮かしても-3.5dBのATTになります。

オマケ

手持ちの抵抗にはなかなかないかもしれませんが。。
π・T型は入出力インピーが違うものも扱えます。

50-75Ω変換(-6dB)

π型 87-46-2.39KΩ
T型 42-82-1.6KΩ 

勿論左右をひっくり返せば75-50Ω変換です。
最小のロスは-6dB程度となります。
-3dBとかになる抵抗の組み合わせはありません。

その昔75Ωケーブルで受信用の7MHzDPを張り
いただきもののFRナンっチャラで受信すると
ローバンドではATTを挿入しないとどこを受信しても
景気よくSメータが振り切れに近い状態。
ふと思いつき75Ω-50Ωの変換をしつつ-10dB程度のATTを
計算して挿入すると実に塩梅が良かったことを覚えています。
記憶ではπ型のセンターにジャスト100Ωを使ったので
たぶん177-100-75Ω(177は複数の合成値)であり-11dB
ATTになっていたはずです。

変換比が大きいほど変換ロスも増えます。

50-600Ω変換(-17dB)

π型 52-600-1.42KΩ
T型 2.1K-50-575 

最小でも-17dBの変換ロスになるのと最小の変換ロスで
収めようとすると高抵抗の値がすごいシビアになるので
実用とするにはロスを-20dBくらいまで許容しなくてはならず、
使い道は極めて限定されます。
トロイダルコアなどの巻数比で変換するのが現実的ですね。
28Tのコールド側から8T目にタップってのがビバレッジ
アンテナなんかで拙生がよく使うやつです。
オーディオならロー出しハイ受けですから考慮する必要は
ありませんね。(逆はダメ。)

結論。。。めいたもの。

さて、受信機フロントエンドの各セクションの50Ωで
設計したつもりのポートであっても、きっちり50Ωで〜す
なんてピッタリ合っているわけではありませんよね。
ですからATTだけ神経質に合わせる努力ははっきり言って
無意味です。
大幅にずれていない限りみんな大凡でも立派に動いている・・・
拙生の性格にピッタリです。ww
例えば途中からVSWRを省略したのは、出力にぶら下がる負荷が
きっちり50Ωの場合はπ型の例のような入力側のVSWRになるし、
50Ωでなくても値が分かる場合は計算できますが、正確には
分からないことがほとんどなので厳密な計算は無意味なんです。

そんな話になったので拙生がなにか作り始めると、なぜかいつも
同じようなものを作りたがる友人も【オオヨソ】とういう結論に
安心したようであります。


最後に

拙生は習慣でATT計算を表計算ソフトに突っ込んだ
自前のものでやりますが、現在ではWeb上で計算できる
便利なサイトも存在します。
でも入出力インピーが異なる計算は見たことがありません。
そんな時はKiCADのPcb calculatorなどを使うと良いでしょう。
ATT計算のの面倒な公式なんか知らなくても簡単プィ!っと
計算できちゃいます。
ただし全てに任意抵抗を入れて入出力インピーやロスが
どうなるかはこのツールではできないので、その時だけは
面倒なて計算の繰り返しをする必要があるでしょう。
自前の表計算?どこかのパラメータを限定すれば他の値が
出るようになっているというすべてのパターンを用意してある。。。
つまりできちゃいます。(笑

手持ちの抵抗でどぉ賄うことができるのか検討すると
自然に在庫抵抗の整理ができちゃうというオマケ付きです。w

  注: ATTの減衰量は通常-3dBなどと表記します。
     しかし-3dBは利得でありロスがナンボと書く場合は
     単に3dBとすると主張する方もいらっしゃいます。
     ここではすべてマイナスをつけた表記に統一してあります。
     ただし-3dBパッドとは書きませんけど。(笑
     

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