苗字はノイズ名はジョンソン?

昨日ポストの友人から再度電話がありました。

トランジスタの振る舞いの話もしましたが本日は
違うお話を取り上げてみます。
勿論話の内容をブログネタにすることは了解済みで
友人が熱心な購読者であることも意識して書いてます。(笑

友人は無線よりはオーディオの自作に力が入ってます。
で、いつも言うのは無線は最初っからノイズの高い
入力信号だけど、オーディオは頭からおしりまで全部
低ノイズにしなきゃいけないので大変なのさ、が口癖です。
また無線もダイナミックレンジは必要だけどオーディオの場合、
オーケストラのアナログ録音なんかは半端でないんだよなぁ。
なんてのもよく言います。
確かにピアニッシモ(PP)とフォルッティッシッモ(ff)
更に楽曲によっては楽譜にPPPPPPなんてのが出てきたり
しますから、軽く100dB超えのダイナミックレンジが必要
なことは間違いありませんね。
そして。。たまに出てくるのがジョンソンノイズ。
オーディオはジョンソンノイズを気にするくらいでなきゃ、とか。
ま、言わせておけって感じですかね。w
で、本日は回路構成に使用している部品なども冷却すれば
ジョンソンノイズに効果があるとノタマイました。
これにはちょっと反論しなきゃダメでしょう。

ジョンソンノイズって絶対零度で分子活動が停止しないない限り
物質は固有のノイズを生成するという物理現象で、確かに
温度が高いと生成するノイズは増加します。
でも。。。でもね、その量ってナンボのもんよ、ってことです。

雑音電圧は
SQRT(4x絶対温度x抵抗値x帯域幅xボルツマン定数)
という式になります。
例えば抵抗(インピーダンス)が600Ω、帯域が50KHz、
温度が25℃で計算してみると、0.7μVの雑音電圧となります。
で、冷却して25℃が10℃まで下がったとしても0.68μVです。
逆に50℃まで温度が上がった場合は0.73μVです。
目くそ鼻くその世界だと思うんですけどねぇ。w

なぜそうなるのかというと、式は絶対温度なので
25℃は 273+25=298K 10℃は 283K なので
摂氏だと2.5分の1(0.4倍)なのに絶対温度では298分の
283(0.95倍)ですよね。
更にそれにルートが掛かってますからSQRT(0.95)だと
0.975倍にしかならないのですよ。。

拙生はジョンソンノイズを気にするほど繊細ではありませんが
一応減らすことを考えてみると、
帯域幅はオーディオの場合むやみに狭めることはできない。
ボルツマン定数は変わらない。
残っているのは抵抗値(インピーダンス)ということになります。

例えば600Ωの入力インピーを75Ωにしたらいきなり
0.25μVまで下がってしまいました。
拙生流で言うといくらHiFiだとしても50KHzなんて帯域を
聴き分ける耳持ってるんかい?って思ってしまうのですが。w
10KHzもあれば十分だとしたら0.31μV、先ほどの75Ωと
併用すれば0.11μVとなってくれます。
600Ωで帯域幅50KHzのままで0.7μVの熱雑音を半分の
0.35μVとするための冷却はは-200℃でなくてはなりません。
-269℃(4K)の液体へリュームなら0.08μVですけど。(笑笑

語ると面倒なのでいつもはフンフン聞いていますが、拙生も昔は
多少なりともオーディオをかじってみたことがあるのですよ。
はっはっは。(勝ち誇った笑いです。

でもそこまで気を使うという姿勢で全ての回路に臨めば
きっとノイズフロアの低い良質なオーディオアンプを
製作することができると思うので頑張ってくださいな。

ちなみに友人はジョンソンノイズと言いますが、拙生は
サーマルノイズと言います。

もう1個のお話

最近格安で中古のスペアナをゲットしたので、玩具にして
遊んでいるとのことです。

で、ちょっと引っかかったのは、高級機より掃引速度が早いので
安物でも馬鹿にならん。。。という話です。

掃引速度はフィルタの応答速度で決定されるのですが
分解能帯域幅(RBW)の2乗に反比例しています。
ってことはRBWをを狭くすると・・・例えば具体的に1/10にすると
ノイズフロアは10dB下がってくれますが、残念なことに応答速度が
遅くなってしまうんですね。
掃引速度とノイズフロアはトレードオフの関係にあることは
下の式から容易にわかります。

掃引速度=(kxspan)/(RWB)^2

つまり。。。これが拙生の言いたいことです。

掃引速度が早い=ノイズフロアも高い=測定感度が低い

ってことなのであまり喜ばないように。って言っておきました。
せっかく喜んだのにちょっとがっかりさせちゃいましたね。
もちろん友人の使用目的からしたら十分な測定感度です。

またブログネタになる話の電話をお願いいたします。(笑

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