3次相互変調歪@IMD

まずIPやIMDを語るときにはっきりさせておかなくては
いけないことがあります。
それは相互変調と混変調の混同です。
はっきり言ってネット上の教本的なサイトでもIMDを
相互変調歪と書いてあったり混変調歪と書いてあったり
しますので、閲覧者が勘違いしてしまいます。

どちらも受信機内のアンプの非直線部分による
歪で起きる(歪が全く無ければ起きない)現象ですが、
この2つには

混変調(クロスモジュレーション)
 ・強い信号が一つでも起きる。

相互変調(インターモジュレーション)
 ・2つの信号がなければ起きない。
 (IMと表記される。IMDは相互変調歪) 

という決定的な違いがあります。

混変調は強い信号の振幅に応じて、受信している
目的信号も振幅変調を受けてしまう現象です。
フロントエンドの選択度が甘い場合は、バンド外の
業務や放送局などからも影響を受けます。

相互変調は2信号の周波数の差分だけ離れた両脇に
新たに信号を作り出して混信を与える現象です。

IPは相互変調のみの関係してくるので混変調
については上記の説明のみとし、以下相互変調
について語ります。

参考図

IM3_5

2f1-f2[Hz]及び2f2-f1[Hz]を3次の相互変調歪(IMD)と言いますが、
物の本やサイトによっては3次の混変調歪となっているのです。
勘違いをなくすためには相互変調歪に統一すべきと考えます。

f1とf2の差が小さいとすぐ側にIMDが生成されます。
例で言うとコンテストなど強力な信号がすぐ側に
出ているという感じでしょうか。
そのような間隔で強い局がf1・f2・f3・・・のように
びっしり出ていた場合は、f1とf2、f1とf3、f2とf3
のようにアチコチにIMDが生成されてしまいます。
更にf1とf2のIMDとf3のIMDなんてのもあり得るわけで、
高レベルにおけるリニアリティの低い無線機では
とんでもないことになります。w
またV/UのFMのようにチャンネルの周波数が等間隔であれば、
妨害波は受信周波数にドンピシャで生成されてしまい
IMDによる目的信号への妨害が受けやすくなります。

相互変調歪には3f1-2f2と3f2-2f1の5次、4f1-3f2と
4f2-3f1の7次などがありますが、目的信号に影響を
与えるような強度があることは滅多にないため、
問題視するのは3次の相互変調歪となります。

3次相互変調歪は2信号の振幅の積の3乗に
比例しておきます。
つまり1つの信号が弱くても、もう一方がとてつもなく
強ければ起きうるということになります。
コンテストの例などのように、f1とf2による3次
相互変調歪による信号がが弱くとも、f3の実信号が強力なら
起こり得ることになります。

放送局送信所などが近くにある場合、IMDがバンド外
だからと安心していてはいけません。
場合によってはその周波数差がIFの帯域内に
飛び込んでくることもありえるのです。

そのような不運に見舞われた場合、外付けの
プリセレクタやトラップが非常に有効です。
そんな面倒なことはしたくないという方は、
無線機が対応しているのならプリアンプのゲインを
落としたり(または外したり)ATTを挿入すると
改善はされます。
目的信号も弱くなってしまうだろ!?って声が
聞こえてきそうですが、例えば僅かな量のATTでも
妨害は側は2信号の振幅の積の3乗に比例して弱く
なってくれるので、目的信号が聞き取れる範囲で
プリアンプゲインややATT量を調整してみるのが
技となります。
もちろんそれでダメなら諦めます。www

あらあら、IMDでは足し算引き算のみで、数式らしい
式はでませんでしたね。
3rdIPも数式らしい数式がなくても解説できちゃいます。
ただしAMPの歪などを詳細説明するには数式が必須ですが

y(t)=a{Acos(2πf1t)+Bcos(2πf2t)}
+b{Acos(2πf1t)+Bcos(2πf2t)}^2
+c{Acos(2πf1t)+Bcos(2πf2t)}^3
+・・・延々と続く

(これを更に展開しなければ歪成分の出力が算出できない。)

なんて式は見たくもないでしょうからやめておきます。w

*参考1@偶数次の相互変調歪について

 f1-f2とf1+f2を2次と言いますが受信する
 帯域から見てすごく低いかすごく高いかなので
 妨害とはなりえず、これは4次6次も同様ですので
 無視して良いことになります。

*参考2@相互変調歪を軽減する術
 ・フロントエンドのゲインを欲張らない。
 ・フロントエンドに極力選択性をもたせる。
 ・周波数が固定されている放送局などには
  トラップを挿入

*参考3@IMか実信号かの確認
 ・例えば10dBのATTを入れてみて信号が
  10dB落ちれば実信号だし、それ以上落ちれば
  IMDによるオバケと判別できます。

次回はきっとIPでしょう。(笑

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