勘違いかな?

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以前にもご紹介したバランの平衡度測る自作簡易測定器です。
(現在ページは表示していません。)
この辺の検索をしていたら、2現象オシロで測定しているサイトがありました。
拙生も簡易測定器はラジケータ(安いので)使用でしたが、200MHzまで見れる
オシロが仕事使用から引退しているので、X-Yモードの切り替えで
リサージュ図形にして、位相を見ることは常套手段です。
フムフムと見ていましたが、ちょいと気になることが。
きっと書き落としと思われますが、シリーズになっている25Ω抵抗の中点が
オシロにしか接続されていません。

平衡アンテナは大地に対して平衡であり、等価的には中点が大地と結合
されています。
このアンテナに同軸ケーブル(不平衡)を直接繋ぎ込むと、中点から
コモンモード電流が流れ出します。
これを防止するのがバランであったり、アイソレーター=コモンフィルタ
(巷ではソーターバランとも言いますが、拙生はこの言い方が
生理的に合いません。)
なのですが、測定に大地との結合という条件が入っていません。

実際にはプローブやリード線などのリアクタンス成分を無視すれば、等価的に
純抵抗分(共振状態)となるため、大地の結合の代わりに、バランに
入力するための同軸ケーブルを少し剥いて、網線部分を中点に接続します。
勿論金属のケースにレセクタプルが直付けしてある(ほとんどがそう)場合は
ケースと中点でも構いません。
この接続した線に電流が流れた分が不平衡になるということです。

リニアバランの場合は回路的にホイートストンブリッジになり、真ん中に
電流は流れない仕組みであり、バイファイラ巻きのアイソレーターでは
差動(ノーマルモード)には抵抗分を持たず、同相(コモンモード)電流にのみ
抵抗分が発生するため、周波数に対するインダクタンスのインピーダンス分だけ
コモンモード電流を防止します。

さて、掲載されている通りの測定方法だとすると、上記接続がない場合は
単にプローブやリード線を含めた2個の25Ωの抵抗のバランスを測定
しているだけで、バランの性能とは無関係になるのではと思って
しまうのですが。。。
高い周波数でバランスが崩れるのは、リード線やプローブ、また25Ωの高周波
特性によるものだと思うのですが、これって拙生の勘違い?

【追記】

投稿後知り合いから早速お電話をいただきました。
迷結合でつながっているのでは?との内容でしたが、
確かにSGとオシロは迷結合でつながっていると言えますが、
アンテナの比ではありません。
アンテナと送信機間でもコモンモード電流の経路にはリアクタンス
成分があり、アンバランスの分がすべて流れ出すことはありませんが、
(送信機が接地されていれば接地線から、
            していなければ大地との迷結合による)
SG・オシロの迷結合では結合が極めて疎であり、バランスの性能の
良し悪しにより流れ出すコモンモードは微々たるものです。
実際には粗悪なバランで測定した時、同軸の外部導体と中点の接続を
入り切りすると、測定値が変化することで確認できます。
純粋なバランの性能を測定するためには、信号元とアンテナや
測定のための等価回路のリアクタンス成分によるコモンモード阻止は
極力除外すべきものです。

なぜソーターバランはダメなの?とも聞かれました。
単にバイファイラ巻きはアイソレーションを取るだけのものであり、
同じ物をグランドプレーンなどのような不平衡アンテナに挿入すると
ここまでが給電線、ここからがアンテナだよ!って境界線を引いてくれます。
不平衡アンテナに使用するのですから、これは絶対バランではないのです。
同じものなのに平衡アンテナに使うときはソーターバランだとしたら
不平衡アンテナに使うときは何と呼べばいいのか混乱しちゃいます。
きっとそのせいと思われるのが、グランドプレーンにバランをつなぐ
などという間違った記述が、製作本に堂々と載っているのでしょう。
きっとそれを読んで不平衡アンテナにリニアバランを繋ぎ込むビギナーが
現れてもおかしくありませんね。

確かに性能の悪いバランの代役にはなるでしょうが、本来バランとは
アンバランスをバランスに変換するもので、ソーターバランと呼ばれるものは
入出力のアイソレーションをとるだけですから、バラス・アンバランスを
どの組み合わせで接続しても良いものです。
リニアバランはコモンモードに対し4~50dB、ソーターバランだと、
うまく作っても30dB程度のアイソレーションです。

ただし理想的に上がっている平衡アンテナは滅多に見ることはなく、
タワーに上がった八木アンテナでも、方向によっては片方は庭、反対側は
屋根に被っているなど、平衡が崩れている場合がほとんどで、それが
極端なときはリニアバランよりソータバランがよい場合があります。
しつこいですが、このようなケースではバランスをとるためではなく、
崩れたバランスとのアイソレーションをとるのが目的となるので、
やはりソータバランはおかしいですね。

語ればまだまだ長いのでこのへんで。。。

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