スタックケーブル

430MHzスタックを自作しようと頑張っている
方からのお尋ねです。

とあるホームページで、スタックケーブルを
製作するために、アンテナアナライザー等で
電気長のλ/4やλ/2を決定しようとすると、
430あたりではアナライザーのブリッジ部までの
配線長も考慮に入れなければならないと書いてあった。
とのことでした。
つまり同軸ケーブル長を調整するときに、
アナライザーの配線長分だけ、希望周波数より
低いところで測定する必要があるということですね。

ふーん、言われればそんな気も・・・
でも拙生はアナライザーと反対側の同軸ケーブルの
先っちょに付けるコネクタや、分配するT型コネクタ分で、
ほぼ相殺されると思っています。

ところであまり気にし過ぎると、75Ωケーブルを
使ったQマッチなんてことはできなくなります。

なぜならスタックケーブルを50&75Ωの
組み合わせで作る場合

方式1
アンテナが50Ωだとしたら、パラレルにして50Ωの
同軸ケーブルに繋げられるよう、100Ωにステップ
アップしますが、簡易的には電気長がλ/4(または
奇数倍)の75Ωケーブルを使ったQマッチが有名です。
ただし112.5Ωにステップアップされるため、Qマッチ
部分だけでVSWRが1.125となってしまいます。

方式2
50Ωのアンテナに接続された50Ωの同軸ケーブルを
そのままパラに接続し25Ωとします。
1本になった後、電気長λ/4の50Ωケーブルを繋ぎ
100Ωまで持ち上げた後に、更に電気長λ/4の
75Ωケーブルを接続すれば56.25Ωになります。
ここでもVSWRは1.125なのです。

方式3
方式2の25Ωになった後、37.5Ω(75Ωパラ)を
繋いでもやはりVSWRは1.125です。

結論
70.71ΩでなければVSWRが1.0にはなりません。

実は電気的λ/4より若干多少長めのほうが
VSWRは下がる傾向にあることを経験しています。
Zin < Qマッチセクション の場合
電気的λ/4がステップアップ比最大となり、
その時のZoutが50Ωより高くなってしまうから
かと思います。

初めて製作するなら多少のカット&トライとなり、
何度か失敗する覚悟が必要です。

極論

きっちりした電気長λ/4にする必要って
あるのでしょうか。
スタック(またはパラレル)のアンテナが同じ
入力インピーだとして、スタックケーブルは電力を
きっちり2分配して、同位相で各アンテナにロスなく
供給するのが目的であり、正確な電気長λ/4の物理長を
欲しているわけではないのです。
異論のある方はVSWRが多少高い状態でお使いください。
ただし430で数10m同軸ケーブルを引っ張れば、ロスにより
あるはずのVSWRも無線機のところでは見えないはずです。
それでも僅かなVSWRが気になる方は、メーカ製の
スタック用分配器を購入するか、銅パイプなどで
自作することになります。

オマケ

430の垂直偏波アンテナの2パラならほぼ問題
ありませんが、HFの水平偏波アンテナの垂直
スタックでは、2つのアンテナ共、中心周波数で
ちゃんと50Ω±j0Ωなのかのほうが大事です。
これが大きく異なるといくら優れたスタック用
分配器を使用してもダメです。
同じ寸法アンテナのスタックだから・・・
でもダメなで、HFは波長が長いので地上高が
無視できるほどの高さは上げられません。
特に下側のアンテナは地上の影響が大きく
上側とインピーダンスが異なる場合があります。
そんな時は実際に上げた状態で同じインピーに
なるよう調整するか、シミュレーションソフトで
計算した寸法で上げるべきです。

インピーダンスが異なると、電力の2分配が崩れ、
場合によっては希望するスタック効果が損なわれて
しまうパーターンになってしまうことになりかねません。

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