トンツー

【トンツー】=【モールス符号】=【電信(CW)による通信で使用する符号】
 
 欧文
A ・-
B -・・・
C -・-・


 和文
ア --・--
イ ・-
ウ ・・-

 
無線とはトンツーのことであり、取得は必須と思いこんで
いた若かりし頃。。。
DXにはまって一時はトンツーで1日100局以上を目標にして、
月に4000局もやったことも・・(デュープあり・コンテスト含まず)
たまにしかやらなくなった今でも、なんとか符号だけは
覚えているようで、ラバースタンプ的なQSOなら全然OKです。
 

 

このトンツーの(危機的)現状?についてちょいと語ります。。。
 

技術革新という時代の流れで、通信方式も多様化し、上級の
国家試験からも外されて、トンツーはすでに過去の遺物と
なりつつあります。。。
 

って、本当にそうなのでしょうか?

 
 
トンツーに代わる新たな通信方式が主流となり、
トンツーはノスタルジックに浸る一部の愛好者が
行うものとなってしまいました。

って、本当にそうなのでしょうか?

 
 

ここでは国家試験から外れたことの是非は置いておいて、
トンツーはいかに優れた通信方式であるかという、拙生の
考え(思い)を書いてみましょ。

 
いかなる通信方式もソフト・ハードともに、アナログ部分が
優秀でないといけません。
例えばスーパー受信機のIF部分以降をデジタル化したとしましょ。
ノイズを位相反転させれて合成すれば、出力からノイズは消えます。
シェープファクタがほぼ1という、理想的なスカート曲線も可能で
混信から容易に逃れられます。
これだけ書けば素晴らしいのですが、前段のフロントエンド
(アンテナも含む)がガサければ、IFが最低限必要とする
目的信号のレベルが供給されません。
ろくなフィルター効果を持たないBPFに、リニアリティの良くない
ディバイスをぶら下げてRFアンプやミキシングとした場合、
強力な電波で込み合うバンドでは、デジタル処理する前に、
弱い信号はブロックされてしまいます。
送信機でも、音声信号入力とキャリアを複素信号化するため、
90度フェーズシフトさせて、まずは乗算そして加算。
そう、フェージングタイプSSBジェネレータのことですが、
フェーズシフトの調整が難しく、しかも安定性に乏しかったため、
メーカ製を含めほとんどがフィルタータイプでしたが、上記処理は
DSPの得意分野で、音声帯域における振幅偏差や、逆サイドバンド・
残留キャリアのサプレッションをデジタル処理することでノイズレベル
以下にすることは容易ですが、これも音声帯域のアンプが歪んでいれば
どぉしょうもないし、電力増幅段で歪めば最悪ですね。
つまり、デジタル処理がいかに優秀でも、アナログ処理が
よろしくなかったら、何の意味もなさないのです。
製作面からすると、回路の複雑さはあっても、デジタル処理は
比較的容易に高い再現性を確保できます。
ですから、デジタル処理に依存する通信方式ほど、アナログ部分に
リキを入れることで、優秀な送受信機が出来ると拙生は考えます。
これは通信方式自体がデジタルでも同様です。

 
実はここからが本題なのです。
(Cut to the chase!って? ^^;;)
しかし、いくら優秀な通信方式で、それなりの機器を使っても、
トンツーと比べると決定的な弱点があると拙生は考えます。
それは、トンツー以外はなにがしかの変調を要すること。
変調回路部分が障害を起こせば、どんなに強い電波でも
相手に内容が伝わりません。
その点トンツーはキャリアの断続であり、変調がいらない分、
障害は少ないと言えます。(SSB+オーディオOSC方式は除く。)
マイクやキーボードにコーヒーをこぼしてしまったら・・・
最悪SSB・AM・FMやパソコンを使用した通信は不能となります。
トンツーの電鍵にこぼしても同じ?いえいえ、立て振れも
エレキーのマニュピレータも、基本はメークなので、拭き取れば
問題ないはずでが、最悪接点が接触しなくなっても、リード線を
外して手打ちが出来ます。
これは、変調部分がコケた送信機でも、キャリアのみ送出できれば、
トンツーだけは送信可能であるということに繋がります。
シンプルが故の大きなメリットですね。
 
さらに受信ですが、S/NやC/Nが悪くても、キャリアの断続さえ
判別できれば、符号は理解可能です。
ピピーピーピーでなくとも、ノイズ混じりのザザーザーザーで
【J】と打ってると分かるわけです。
こんな通信方式って他にないでしょう。
 
ちなみに・・・
特にDXとの交信で経験することが多いと思いますが、
トンツーでQSOした局に、SSBでもQSOしようとリクエストすると、
よほど強い局でないかぎり、大体は信号強度も了解度も下がります。
50MHzのヨーロッパなどはトンツーでカスカスならば、SSBでは
まずカスリもしません。。。
 
余談ですが・・
トンツーは典型的なアナログ通信と言われていますが、キャリアの
断続ですから、ある意味あるかないか(0か1か)のデジタルに
近い存在であり、耳で聴き分けて頭でデジタル処理をして、文字に
置き換えているとも言ます。
 
 
 

そんなこんなで、いかに優秀な新しい通信方式が出現したとしても、
トンツーはシンプルイズザベストの唯一無二の通信として、永遠に
受け継がれていくべきものと考えます。
決して文化的遺産などではないことを強調しておきたいと思います。
 
 
最後に国家試験とトンツーについてちょっとだけ。
 
確かに送受信の実技が行われていた時も、試験のためだけに勉強して
後は符号すら忘れている1アマもいましたし、3級(以前の電信級含む)
でも、毎日交信しているうちに、プロも舌を巻くような名手になられた
方も知っています。
ですから資格別に難易度の違う試験と言うのは無意味とも言えます。
しかし!
拙生の昔からの持論は、アマチュア無線をやる以上、4級であっても
最低限のモールス信号は試験にあるべきだと言うことです。
例えば前述のようなトンツーしか送信できない状況下で非常事態に
陥り、SOSを叩いたとします。
しかしトンツーを理解できない人が受信しても聞き流すでしょう。
単なる混信として、うるさいとしか思わないかもしれません。
ですから、せめてSOSやOSOの符号と、それを受信したときの対処法は、
ノーコードライセンスでも試験に出すことで、勉強しなくてはいけない
状況を作りだし、周知すべきではないでしょうか。
 
 
以前にも書いた気がしますが、プロの試験からもトンツーが消え、アマチュアの
叩いたSOSをプロが分からなかったなんて悲しい時代にはしたくないですね。

 
最後の最後に・・・トンツーって本当に面白いですよ。

 

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