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落とし所@πマッチ

自作派の御仁宅へ訪問したときのお話です。
(無線ではなくパソのヘルプ信号で呼ばれました。)

冬場のトップバンドへのQRVを目論んでアンテナの
ローディング用大型コイルが巻いてありました。
Quは400以上か?。。。とにかく高そうです
実は通販で直径8mm肉厚0.8mmの10mものの銅パイプが
3K円弱で安売りしていたので、つい買ってしまい、
何に使おうかと考えた末、今まで出たことのないトップバンド
QRVになったのだとか。(笑

実は拙生が興味を持ったのはそのお化けコイルではなく、
それと並行して準備しているアンプでした。
御仁はオーディオの製作もやるので、以前6KD6を
何十本も並べて低インピーダンス化したアンプを
見せていただいたことがあるのですが、それをバラした時の
6KD6がまだ大量にあって、かなりお嫁入りさせたたそうですが
まだ20本ほど手持ちにあるそうです。
そのうちの6本で500Wを。。。という計画で、すでにダミーで
試験段階に入っていました。
そう言えばこのダミーは拙生が自作したやつで、20年以上前に
懇願され譲ってあげたやつです。(笑

高圧トランスはオーディオに使っていた入力100Vx2で
出力が1500V(200V入力時)1.4Aのトランスの入力側を
パラにして100Vで使用。
出力750Vを整流するとちょうど良い電圧と言うことです。
オーディオからそのまま流用した33μFのオイルC3パラは
見事ですがもったいない気が@貧乏性。。。
SG電圧も流用ですが、オーディオ時代のCG電圧は電池だったので
さすがにトランス&整流に変更したそうです。

見た目でインダクタンスが足りないと思われるプレートチョーク
などをご指摘させていただいていた時に質問が。
ロードVCに使っているのは430pFの3連VCですが、固定Cを
1000pF1個・2個とパラっていっても容量不足で、VCが
入りきった大容量でパワー最大(300w程度)となる段階で
とまっているとのこと。

ちょっと待って下さい。
プレート電圧がおよそ1000Vでとして目標の500Wを絞り出すのに
0.8A(800W入力)とした場合、プレートZはAB1級だと大雑把に
800Ω前後でしょう。
この時の50Ω変換のπマッチをQ12で計算すると・・・・
ロードVCは5000pFくらいになったはずです。
(以前40KD6x5で製作した時の経験から。)
まだ足りないのではというと、昔懐かしい部品が盛り沢山の
ジャンク箱からゴソゴソと3000pFのドアノブCを引っ張りだして
きました。

固定C 5000pFに430pFx3今度は足りると思いきや。。。。
やはりVCは入り切り最大パワーは300Wちょい程度。
6KD6x6ってこんなもんかい?って少々ガッカリされたようですが
イエイエ、以前製作したやつはもうちょっと高圧が高めでしたが、
5本で600Wは軽く?出てました。

原因は違うところにあります。

まずロード側VCのXCを考えます。
先ほどの条件(Q=12)でZpが800Ωとします。

その時の各値は以下となります。

XC1=66.7Ω
XL =81.9Ω
XC2 =17.6Ω

この値は回路Qと入出力Z(出力は50Ω限定)によって
決定されるものでどの周波数でも一定です。
使用周波数みおいてこれらのリアクタンスになる値が
実際の容量となります。

1.8175MHzでは

C1=1312pF
L=7.17μH
C2=4970pF

であります。
ではなぜ5000pFをパラにしてもVCは最大容量に
なったのでしょう。

 XC2 =17.6Ω ← ここに着目

出力が50Ωなので勘違いしやすいのですが、ロードVCに
必要なリアクタンスは50Ωではないのです!
そして多分以下が答えになるはずです。

(最初の部分は関連事項ではありますが余談になります。)

物理的にリニアアンプ用VCは必然的に大きくなり、
周波数によってはESRやESLが無視できない場合が出てきます。
(配置にもよりますが配線周りは長めになりこれも効いてきます。)

・ESL 等価的にCにシリーズに寄生するL分
・ESR 等価的にCにシリーズに寄生する純抵抗分
(・IR 等価的にCにパラレルに寄生する純抵抗分)

ESLは自己共振に関与します。
自己共振周波数では寄生しているL分との直列共振なので
インピーダンスはガクンと下がります。
これ以下の周波数でのリアクタンス成分の周波数特性は
反比例、つまり周波数が高くなると共にインピーダンスは
直線的に減ってゆくのですが、自己共振周波数あたりから
いきなり下がり、それを境に上昇してゆきます。
というのは自己共振を境にしてそれより低い方はC分ですが
高い方はL分となってしまいます。
つまり自己共振周波数より高い領域ではキャパシタとしての
働きをしなくなります。

自己共振周波数は

f=1/(2π sqrt(L・C))

というお馴染みの式のLの所がESLになります。
インピーダンスを下げたい場合容量を大きくしますが
ESLの大きなキャパシタでは自己共振周波数も下がります。
さらに配線の引き回し分のLやC成分も影響します。
容量を大きくしても思った効果が得られないという
現象に頭を悩ませることになります。

ただし5000pFで1.8MHzに共振するにはLが1.54μHほど
必要であり、そぉ考えると自己共振はもっと高い周波数で起きるので
ここでは問題になっているわけではありません。
VやUHF帯のバイパスCなどでは考慮が必要です。
積層セラミックチップCなどを使うときは低ESLタイプにすべきです。

さていよいよ本当の回答です。(笑

ここで問題になるのはESLではなくESRの方でしょう。
エアーVCのESRは意外と高く周波数が高いほど増加します。
例えば仮に10Ωあったとしたら・・・
上記条件でマッチングに必要なのは17.6Ωですから
RCの並列回路 Z=R+(1/(jωC)) なので
XCは7Ω程度となってしまい、1.8175MHzにおける容量は
なんと7500pF以上になってしまいます。
この時の位相は約-50°です。

ではパラッた1000pFのドアノブCを仮にESR5Ωとすると
インピーダンスは87.7Ω・位相は-86.7°となります。

しつこく・・・3000pF・ESR4Ωだと
インピーダンスは29.5Ω、位相は-82.2°です。

*話を簡略化するために寄生Lを省いてます。(Lが入るともっと複雑)
  *あくまで遠からず的な仮の値です。
  * ESRは裸Qの低下に影響します。
  (裸Q=無負荷Q 中学生の頃先輩に教わったまま使ってます。)

これらをパラレルに接続すると確かにESRは(ESLも)低下し
インピーダンスも低下してくれますが、容量から読み取れる
XCとはかけ離れた値になることがあるということです。

またVCと固定Cの位相に30°以上の差があるのが気になります。
(L成分を考慮に入れても同様な差が生まれます。)
以前18&14MHz用に製作したアンプで14MHzにおいてロードVCの
容量が足りず300pFをパラッタのですが、どの程度足せば
VCの中心あたりでマッチングしてくれるか確かめるのに、とりあえず
300pFをRFデッキの骨組みであるL型アングルに取り付けてみました。
ちょうど中心位だったので、しめしめとばかりロードVCの還流路として
デッキ内に敷き詰めた銅板に取り付け直したところ、VC容量
最大付近でしかマッチングが取れず、しかも最大パワーが300Wほど
落ちてしまいました。
最終的にはいろいろ場所を探して良い所を見つけましたが、その最中に
再度L型アングルで試しましたが、ちゃんとVCの中心位置で最大
(18MHzと一緒の)パワーが出ることの再現性を確認できました。

例えば18.118MHzにおいて30cmの距離は約6.5°の位相差を持ちます。
拙生は先の各デバイスの位相差をキャンセルまたは緩和できる距離が
あるのだろうと踏んでいます。
逆にひどい場合は固定Cの落とし場所で、球がラッシュしたことも
ありました。
なお、まだ理論的な確信はないのですが、経験したのはAB1級の
4極管アンプの数例であり、べタコンアースの3極管(または3結)
アンプで試しに落とし場所を大きく変えてみましたが、4極管のような
大袈裟な変化はみられなかったことから、そのへんにヒントが隠れて
いるのかもしれませんね。
またオペアンプなどで言うところの位相余裕やゲイン余裕も
ヒントになりそうです。

で、本題に戻りますが、トップバンドで位相差をキャンセルするのは
とんでもない距離になりそうですし、いくらESLやESR特性に優れている
と言っても、一発で足りるバキュームCは6KD6アンプには贅沢すぎます。
デッキ内に余裕があったので容量が少なくても良くインピーダンスの
高いところに入れられる(その分耐圧はいりますが)π-Lマッチを
お薦めしておきました。
そうすることで高くても数10Ω程度のESRの影響から回避できます。
パラの固定Cを使用する場合は良い所、まさに落としどころを
見つけるしかありません。

たかがTV球アンプと思いがちですが、低インピーゆえの高周波の
大電流って一筋縄にはいかないですよね。

ちなみにVCではありませんが拙生の知るHighQ=LowESRでLowESLは
低ESL貫通Cであります。
(グランドに落とす2極の電流が反転していて磁束を打ち消し合うため)

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