リニアアンプの修理

仕事のスケジュールが変更になったので、土日で一気に
やろうとしていた、依頼されてからかなり時間が経過した
リニアアンプの修理を、繰り上げて昨日から始めました。

このアンプは以前に依頼を受け改造を施したもので、送られてきた時点で、
もしかしたら改造時に何かヘマをやったかと、少々ドキドキしながら
開けてみたのですが、部品としてNGになっているのはメータ回路の
分流器用抵抗とプレート回路の保護用FUSE溶断だけのようでした。
(分流用抵抗は以前にも飛んだことがある。)

分流器の抵抗が焼けFUSEも切れているということは、過電流が
流れたことが容易に想像が付きます。
過電流が流れる原因は真空管のラッシュやバイアス回路の
不具合等いくつか考えられます。

一番先にみたのはバイアス回路。
ここは以前に改造した部分だからです。
改造前は10Vのバイアスとしていましたが、オリジナルの高圧トランスを
更に高圧のものに交換してあり、Ep5300V・アイドリングが600mA以上
だったため、これではアイドリングだけで3KW以上で3CX1200A7x2の
合計プレート損失(1.2×2=2.4KW)を既に越えていました。
アイドリングだけで排気熱がかなりなものです。
100%デューティですから3KWの電熱器といっしょですもの・・・
これにドライブをかけてRFを出力するときの損失が加わります。
もう1台の同じアンプよりゲインが高いと喜んでいる場合ではなく、
とても危険な運用状態を続けていたことになります。
そこで、アイドリング電流を半分程度にするために1KV3Aの
整流用Di13発で0.6×13=7.8Vを足し増しした17.8Vをバイアスとし、
アイドリング時の電流を300mA程度に落とした経緯があったので、
ここがいかれていれば当然拙生の責任も考えられますので。
ということでこれだけは真っ先に調べましたが、改造前からあった
バイアス回路も含め異常がなかったのでとりあえずは安心しました。

ヒューズは速断ではなく普通の管ヒューズなので、溶断するまでの時間に
分流用抵抗が耐えきらなかったのでしょうけれど、0.1オームのプレート用が
焼き切れるためには、耐電力から考えると少なくとも3Aちょっとは流れたはずで、
3Aのヒューズがギリギリの値のため時間をかけて溶断したのでは?という
推察とも合致します。
バイアス用にしたダイオードも3Aなので、よくぞ耐えてくれたものだと
感心(感謝)しています。(笑
貧乏暇なし状態でこの時点からかなりの日数が経ってしまいました。。。

さて、昨日あらかじめ入手してあった交換用の抵抗を持って
いつも作業場とさせていただいているFDTラボへ出向きました。
途中までバラしたアンプを更にバラバラに。
勿論炭化した抵抗は取り除き交換、ヒューズも交換。

今回は抵抗とヒューズががウィークポイントなってくれましたが
例えばこれらを3A程度じゃ焼ききれぬようにに強化すると、今度は
他のところがイカれ兼ねませんので、原因追及のための入念な調査は
必須なのですが、後はいくら調べてもおかしなところは見当たりませんねぇ。

実はグリッド電流計の分流器も飛んでいて真っ黒い炭化状態です。
IpはともかくIgの過電流って一体?てな事実を積み上げていくと
発振させてラッシュ?リチューン状態で思いっきり押しちゃった?
負荷が不安定?くらいしか考えられません。
高圧がかかってアイドリングも多めに流しているので、オリジナルより
何dBかゲインを稼ぐ代わりに負荷環境やリチューン時などに、不安定動作に
陥りやすくなることがトレードオフとなってしまいます。

とりあえず電源は大丈夫そうなので
 RFデッキ切り離し状態で電源ON → 異常無し
高圧をかけなきゃ良いのでエージングをかねて
 フィラメント電圧点火 → 異常無し

高圧も掛けてみたかったのですが何かあったときに3A以上流れる・・
それが気になって3Aのダイオードを6Aに交換することに決定しました。
決定したところで時間切れで作業の続きは明日になりますが、エージングは
ほどほどやっているので交換後すぐに高圧を掛けることができます。
RFデッキを再度バラすついでに、ローラーインダクタの接触や、
プレート用等のキャパシタのネジ止めなども再確認しましょ。

何事もなく明日中に片付けることができれば良いのですが。

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