VR105MT

定電圧放電管について少し書いておきます。

アルゴンやネオンが封印されていて、アノードとカソード間の
電圧を上げていくと、ある電圧から放電が始まり、両電極間の
電圧を一定に保つという仕組みです。
昨日のVR105MTだと120V程度から放電し、それ以上の電圧は105V
に安定化されます。
放電電流は5mAから最大許容電流の30mAまで、放電管に5mA以上
流れれば安定します。
以前測定してみたところ、この放電電流の範囲においては、
出力電圧変動は最大0.9Vと極めて安定していました。

定電圧放電管VR105MTについて

電圧について
電源からの供給電圧が120V以下では放電せず安定化されません。

電流について
最大許容電流を超えた放電があると、電圧は上昇してしまい
大幅に超えると最終的には壊れて放電しなくなります。
電源電圧が200V、出力電圧が105Vだとすると、95V分の
電圧降下であり、最大許容電流が30mAであるとするなら、
≒3.2KΩの抵抗を入れて電流を制限します。
VR105MTは安定化するのに最低5mAの放電電流が必要なため、
負荷がぶら下がり電流が流れた場合、30mAに制限されれている
としたら、25mAまでしか使えません。
例えば負荷に30mA流れれば放電管は放電しなくなり電圧は
一気に上昇します。

ノイズ対策
放電ですからノイズが出ます。
ノイズ対策のためにキャパシタをパラに入れておくのですが、
大きな容量では発振する可能性があるため0.1μF以下とします。
またノイズ源とならぬよう、ノイズを嫌うアンプから離したり
シールドしておくことも有効です。

応用

負荷の電流
上記の説明から・・・25mA程度の負荷にしか使えないのか。。。
3.2KΩが入っている限り全体で30mAしか流せないので
答えはイエスです。
しかし。。。例えば常に90mAの電流が流れる負荷ならば、
95mA〜120mA流れる抵抗に変更すれば、VR105MTには
5〜30mAしか流れません。
問題はあります。
負荷が真空管の場合、電源投入後ヒーターが温まるまで
動作状態にならず電流も流れません。
放電管にとっては無負荷状態になるので、95mA〜120mAは全てを
VR105MTが受け持つことになってしまい壊れます。。。
つまりステップ・スタートなど、なんらかの工夫をしなくては
イケないわけです。
簡単にやるには最初は3.2KΩ以上でで無負荷状態でも放電電流を
30mA以下に抑え、ヒーターが温まって負荷に電流が流れ始めたら、
タイマーリレーでパラに抵抗を接続し、合成抵抗を下げることで
95mA〜120mA流せるように対応します。
ただし負荷に流れる電流が変動する場合の許容幅は25mAまでです。
例えば最大120mAの負荷で放電電流を5mAとし、電流制限を全体で
125mA流せる760Ωとした場合、負荷に流れる電流が95mAになると
放電電流が最大の30mAとなります。
これ以下になるような変動のある負荷では、放電電流が最大の
30mAを超えてしまうので、この手は使えないということですね。

組み合わせによる電圧
VR105MTの2本シリーズでは、放電電圧は105Vx2の210Vになります。
ただ特性のばらつきにより、平均120Vから放電しますが、130V
からのものがあったりすると、先に放電を始めるものが出てきます。
電流依存が異なることもあり、放電電流が5mAで安定しないものや、
30mA以下から電圧上昇が見られるものもあります。
ギリギリで使わなければ概ね問題は起こらないことが殆どですが、
これらをシリーズにするには分圧抵抗を咬ませるなど、
ひと工夫が必要です。
VR150MTとの組み合わせならまだしも、VR75MTのときは、更に
注意が必要です。
VR75MTの放電開始電圧は102〜3Vと意外と高く、105:75の比。。。
ではないので、うまく分圧してやらなければなりません。
さらにVR75MTの最大放電電流は40mAですが、105とシリーズですから
30mAまでとなります。

組み合わせによる電流
ステップ・スタートは面倒だし、パラはどぉよ?
って誰しも1度は考えますが、これはやっちゃいけません。
例えば2パラだからと、電流を2倍流せる抵抗にした場合を考えます。
特性にばらつきがあり放電開始時間に差があると、先に放電
したほうが全ての電流を受け持つ格好になります。
先に放電されると、電圧は105Vとなってしまい、他方は
いつまでも放電開始電圧にならないので、パラレルの意味を
なさないということになります。
1本に電流が集中し壊れて放電しなくなると、他方も
同じ理由で壊れてしまう可能性大ですね。

電圧安定化のためにせっかく奢った定電圧放電管が
発光せずに安化定電源に成り下がっていることに
気づかない。。。なんてことがよくあります。
基本は1本であり、それでは欲しい電圧や電流が
取れない場合は、5651などの電圧基準となる放電管と
電圧増幅管の組み合わせで可変できる安定化電源を
組むことになりますが、VFOに使う球のEpや、
増幅管Esgの安定化なら、VR150MTやVR105MTで
十分まかなえるはずです。

明日はモバイル基地局の電源をやっつけてきます。

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